■やっとリテラシー政策がネガからポジに。
総務省ICTリテラシー検討会がスタートしました。山本龍彦慶大教授が座長、ぼくは座長代理。石戸奈々子さんとともに委員を務めるのはたぶん初めて。
総務省はこれまで青少年の安全安心策、つまり危険回避を重視してきて、利用「促進」策は薄かった。大人向け利用策も薄かった。ようやくポジ転換です。
コメントしました。
役所を辞めMITでPC一人一台運動などを推進しつつ、子供がデジタルで表現・創造力を高めるNPO CANVASを作って以来20年になる。
しかし日本は遅く、逆にデジタルを子どもから遠ざける風潮が広がった。私が世話役となって立ち上げたのが安心協。フィルタリングなど安全対策は進んだ。
並行してデジタル教科書教材協議会DiTTを立ち上げ、PC一人一台、学校ネット化、デジタル教科書の3点セットを推進した。ポジティブの運動。
苦労した。8年かかりデジタル教科書を認める法律が成立、プログラミングも必修になった。PC一人一台はGIGAで実現。コロナがなければあと25年かかる計算だった。
安全安心対策とデジタル利用推進とは本来、一体として進めるべきと考えていたが、力不足でなかなか融合できなかった。
全ての子どもがデジタルで勉強する環境になり、ようやく機運が変わり、ようやくこうした会議にたどり着いたと感じている。
問題は今後。
学校デジタルは進む。混乱も問題も起きるが、現場と子どもの力を信用し、見守りたい。
政策の重点は家庭に移る。特に格差。家でデジタルが使える使えない問題。
4万の学校から、子どものいる1千万の家庭へと。教育問題から通信問題へ。文科省より総務省の仕事。通信政策の最重要課題。
セキュリティ、フェイク情報といった守るリテラシーは重要だが、それ以上に創造力、コミュニケーション力をつけることが重要。
大人だって身についてはいない。子供のほうが優れている面はある。
私は2年前にICTの大学を開学し、学生に教えてもらっている。子どもも大人も一緒に使い、学ぶ。
ツールは変わる。SNSもmixi/fb/LINEどんどん変わるので定まった教育法もない。
紙と鉛筆のアナログ教育も、150年たっても理想の教育はできていない。
デジタルでの学習は始まったばかりで、100年たっても理想には届いていまい。
使いながら、時間をかけて、ともに考えていく、という姿勢があっていい。
政策目的は「国民のユーザ力」を上げること。
とすれば、デジタルが
1.役立つ、
2.楽しい、
3.安全、
という順位だと考えるが、3.に偏重してきたのがこれまでの対策。
どう1.便利さや2.楽しさを高めるかの政策は抜け落ちていた。
創造力や共感力を上げる施策を厚くしたい。