■NHKは何処へ行く?
放送人の会「NHKは何処へ行く」@千代田放送会館。
登壇しました。
NHK経営計画を巡る議論です。
思うところを述べました。
他の登壇者と全く違う意見で、申し訳ありませんでした。
1.基本認識
NHKがんばれ。民放もがんばれ。
日本のTVは弱っている。
デジタル対応に15年遅れた。
デジタル敗戦の典型だ。
ネットはGAFAにNetflix、Disneyなど米IT企業だけでなく、中国テンセントなども攻めてくる。
BBCはTV10chに海外3ch、中国CCTVは20ch、海外5言語ch持つ中で、NHKは?
デジタルと世界の2面をどうとらえるか。
国内あまねくよい番組を二元体制で、という話は明治時代に幕藩体制の是非を議論しているように聞こえる。
NHK7000億円のとらえかたも、放送4兆円の中ではなく、国内情報市場70兆円の中でとらえたい。
2.経営計画
スリム化+強靭化は悪くない。
AI、配信などDXに投資する方向もよい。
だが遠慮がちだ。
値下げにしても1回小さく行い、政治圧力で700億円、月300円が取り沙汰されている。
しぶしぶ後出し感が否めない。
そこまで身を切るのか、なら挑戦や拡張も仕方ない、と思わせるものがあっていい。
3.ビジョン
つまり、将来、NHKはこうありたい、NHKはここに着地する、というビジョンや展望がない。
ので、波を1つ減らすことの是非、多少値下げすることの是非という小粒の条件闘争になる。
ネット含むデジタル・メディア空間の中でNHKをどう位置づけるかを考えるべき。
NHKはBBCやCCTVのようになりたいのか否か。
NHKのHを変えて日本メディア協会や日本デジタル協会になりたいのか否か。
などの論があっていい。
総務省の会議で長く座長を務めた多賀谷一照先生が、NHKを分割して、スリム化した公共放送と有料・広告のドラマなどに再編という案を出された。ショックだ。
多賀谷先生に触発され、ぼくも改革案を落書きしてみた。
ホールディングスの下にハード・ソフト・ラボに3分割してぶらさげる。
ハード・ソフトのソフト、コンテンツは全番組をIPで管理する。
それをハード=ネットワークが配信する。全てクラウド管理し、データ収集も行う。
放送の電波を少数chで、そしてネットではニュース、教育、ドラマなど数十chを配信。
中国CCTVなみの専門chで海外配信する。
そこまでを本来業務として受信料で回す。
これなら受信料は半分にしても回るのではないか。
あるいは浮いた分を制作費に回す。
それ以外のネットワークは、有料のオンデマンドとメタバース。
NHKはメタバースを構築し、その空間ではeコマースや広告を展開すればよい。
そしてラボ。技術と文研は宝。
先端開拓はNHKが特殊法人たる理由の1つで、柱として機能強化してほしい。
企業や大学などと連携して競争力を発揮してもらいたい。
・・その後の議論にて発言しました。
日本はハードソフト一致の放送を守ってきた。
英国はBBC・民放ともにハードソフト分離でオールクラウド。
BBCは電波を返上するとの噂もある。受信料制度廃止論もある。
ダイナミック。
場面は既に変わった。通信放送融合はもう終わった。
広告6兆円、ネット2.7兆が4媒体2.5兆を抜いたというニュース。
4媒体と一くくりになったことがニュースだと思う。
融合論が起きた30年前には0だった市場が2.7兆円になった。
その市場を取りに行かなかっただけのこと。
その気になれば取れた。
ネット市場は動画広告がエンジンだという指摘があった。
その燃料はデータ。ネット広告は全てデータ主導。
ネットフリックスのヘイスティングスCEOはコンピュータの専門家だ。
NHKにしろ民放にしろ、そういうトップはいるか、
という問題提起と受け止める。
今をどう見るか、で戦略も変わる。
平時か戦時か。延長線上か転換点か。
ぼくは戦時の転換点だと見る。
コロナのDXでデジタル敗戦を認識したが、テレビはどうするかが見えない。
ウクライナでフェイクニュースやサイバー攻撃などデジタルが主戦場となる中で放送局はどうしているのか。
NHKをどうするかという問は、今NHKがなくて、NHKを作るとしたらどう設計するか、から逆算するのがよい。
NHKを叩く話ではなく、NHKを含む放送を含む情報空間を拡張する話をしたいです。