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Channel: Ichiya Nakamura / 中村伊知哉
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古林英一「公営競技史」。

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■古林英一「公営競技史」。


世界で開かれる競馬と、日本発祥の競輪、オートレース、ボートレース。

7.5兆円産業。

日本中央競馬会は政府全額出資の特殊法人でありながら政府に国庫納付金を差し出すという唯一の存在。

競馬(農林)、競輪・オート(通産)、ボート(運輸)という各省に紐ついた公的な仕組みがなぜどのように運営されてきたのか。

江戸末期から戦後にかけての歴史書。

 

ぼくが参加する「日本スポーツ政策機構」は、地域スポーツの再生などかずかずの課題を審議しているが、新たな分野としてeスポーツを扱い、これはぼくが担当する(とおもう)一方、スポーツとカネを考える上で公営競技との向き合いも案件となる(とおもう)。

 

本書は政治書である。

取り分け美濃部亮吉・東京都知事が公営競技廃止で、蜷川虎三・京都府知事が競輪を守った政策の相違を掘り下げた点が出色。

東京と京都の帝大出身の社会統計学者で、かたや内閣統計委員会、後者は中小企業庁長官という役職を経ながら、どちらも共産党が支持する知事だった。

その両者の真逆な政策。おもしろい。

 

それで思い出した。

ソルティー・シュガー1970年「走れコウタロー」。

途中のナレーション、「えーこのたび公営ギャンブルをどのように廃止ィーするかという問題につきまして、慎重に検討を重ねてまいりました結果、本日の第4レース、本命はホタルノヒカリ、穴馬はあっと驚く大三元という結論に達したのであります」、今でもそらんじられる、これは美濃部都知事のパロディーものまねだった。

 

さて、公営競技も中継、オッズ、投票などIT・データ事業となる。

ソフトバンク、楽天、MIXI、サイバーエージェントらが担い手として参入してきている。

いかに進化・成熟していくか。気になります。



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