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Channel: Ichiya Nakamura / 中村伊知哉
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DC EXPO2016

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■DC EXPO2016
Innovative Technologies 2016@DC EXPO@科学未来館。
特別賞選考委員として参加しました。今年は昨年に比してIoT & AI色が濃く、ワクワクしました。


選考委員特別賞「8K:VRシアター」
 NHKメディアテクノロジー / NHKエンタープライズ
270インチ3D映像と22.2ch音響でのライブ体験。目の前に等身大のサカナクションが演奏する。これは「観る」ではなく「居る」メディア体験。


2020Tokyoは8Kのパブリックビューイングが来ているでしょう。この日本発メディア体験を早く広めていきたい。


Human賞「失禁体験装置」
電気通信大学 ロボメカ工房VR部隊失禁研究会
水流、温度、膀胱の圧迫、振動等を通じあたかも失禁したかのような体験ができるシステム。推しました。このポップさを実現し、それをマジメに評価するのが日本の魅力。「失禁感」という新語も好き。


開発した学生たちは、「失禁という言葉を舘先生に言わせるのが目標」と言っていたが、先生がステージで何度も言っていたので、目標クリア。


Culture賞「AIによる白黒写真の自動色付けシステム」
早稲田大学 基幹理工学部 石川研究室
ディープラーニングを用いて白黒写真をリアルタイムでカラーに自動変換。学習が深まるほど正確な色付けに。大学の研究が実用に達する好例。


Industryの受賞はありませんでした。それはどれも粒よりで、票が割れたから。ぼくがピクッときた技術をピックアップしていきます。コレは実際には曲がって歩いているのにまっすぐ歩いていると感じさせるVR技術by東大+ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン。


「Concept 4D Tracker」by コンセプト+データスタジアム
画像認識(カメラ2台)のみで3次元位置を計測、リアルタイムでボールの軌跡やスピードなどを表示する。スポーツのIT化とIoT化を実装して2020Tokyoに役立ちそう。


LINEやTwitter上のおしゃべりボット、女子高生AI「りんな」。この日本ぽいAIをマイクロソフトが作ってるのが面白い。会場デモ中、ぼくもスマホでりんなに「いま見てるよ」と打ったら「信用できひんなー」と京都弁で返されましたw


きまぐれAIプロジェクト「作家ですのよ」。星新一のようなショートショートをコンピュータに作らせる。人とAIが二人三脚で創作するもの。


「8K Time into Space」by NHK/MIT Medialab
8K画面でテレビ番組や映画など一つの映像を何百個もの動画に時分割し、その全てを同時に再生。それぞれの動画の細かい部分まで明確に観ることが可能。メディアラボはリップマン教授が担当。リップマン、元気!


「fVisiOn:全周360度から観察可能なテーブル型メガネなし3Dディスプレイ」by NICT。平らなテーブル上にバーチャルな3D物体が浮かぶように表示。テーブルを囲むひとが全て見ることができる。


「ホログラフィックウィスパー」by ピクシーダストテクノロジーズ。
多数の超音波振動しを個別に制御して焦点を結ぶ。何もない空中に「点」音源を配置する。レーザーのように線で音を飛ばす指向性スピーカーはあるが、「点」でささやく音は、面白い応用が考えられます。
これ、落合陽一さんの会社なんですよね。毎度びっくりするものを見せてくれます。


「TABO」by バスキュール+プログレステクノロジーズ。
タブレット上で動く小さなロボット。スクリーン表現とロボットとを組み合わせてプログラミングを学ぶ。バーチャルとリアルの垣根を乗り越えるプログラミング学習環境。かねてから注目してました。


「Sky Magic」by マイクロアド。

数百台の自律制御ドローンを編隊飛行させてLEDの巨大ディスプレイを空中に作る。第一弾デモは富士山を舞台に25台を飛ばして実施。ぼくらも11/26のKMDフォーラムでもドローンで見せる光アートをプレゼン予定です。この世界、広がりそう。

知財計画2017ラウンド開始

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■知財計画2017ラウンド開始
知財本部委員会@霞が関、知財計画2017に向けた会議が開催されました。
今回も共同座長を務めます。今年で8ラウンド目になります。

冒頭あいさつしました。

コンテンツ分野は前ラウンドで海外展開やアーカイブなど従来からの重要テーマに力を入れるとともに、AI、ビッグデータを含む次世代知財システムに世界に先駆けて取り組んだ。

それを受け、著作権制度の大きな見直し論議がスタートし、AIの知財問題も議論が巻き起こった。

新ラウンドでは新情報財への議論へと踏み込むとともに、映画の検討も始める。気合を入れ直す。

リオの閉会式では、雨の中、安倍首相がマリオになってくださり、コンテンツを重視する政府の姿勢が伝わった。受け止めて参りたい。


事務局より知財計画2016の取組状況を説明。
著作権制度の見直しを次期通常国会に向け進めること、リーチサイト対策やオンライン広告対策の検討を進めること、クールジャパン拠点同士のネットワーク化を進めることなど。内閣府、総務省、経産省、文科省、国交省らが対応。

知財本部委員会、さらに「新たな情報財検討委員会」(ビッグデータ、AIなどの知財問題)、「映画振興施策に関する検討会議」の2会議を置くことを決定、その2つも座長を引き受けることになりました。しばし忙しくなります。

IoTやAIなど第4次産業革命に関する政府の会議は内閣官房、内閣府、経産省、総務省など10個以上あり乱立。
政府としては知財本部とIT本部とに意見集約し、それを次期成長戦略に反映させます。知財本部には大事な舵取りが期待されます。


トヨタ近藤さん:AIは生データ=ビッグデータをどう守るかが重要。ビッグデータへの投資インセンティブが守られる仕組みを作りたい。

ニッポン放送重村さん:カンヌMIP-COMで受けた質問。ポケモンはゲームアニメマーチャンダイズポケモンGOとなった。ワンピースがスーパー歌舞伎になって世界発信した。ソフトのジャンルの壁が取り払われる。日本はその権利処理にどう取り組むか。--総合的に処理できる仕組みが必要。

瀬尾さん:ITは米に取られたが、AIはまだチャンスがある。この新インフラで大事なのはデータセットと学習済モデル。ナショナルアーカイブにコンテンツを囲ってモデルを作るべし。300年の国より2000年の国にアドバンテージがある。

読売新聞野坂さん:IoT、AIについて政府のさまざまなところで議論がされているが、知財本部が司令塔役を果たすべき。

サンライズ宮河さん:ルフィやマリオは世界で活躍しているが、映画はまだ世界市場に出て行けていない。中国は活躍が目立つ。戦略としてどうするか、議論したい。



さて、また知財の熱い季節の到来。やりましょう。

バルセロナ、今回は科学館。

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■バルセロナ、今回は科学館。
工事現場に行ってきました。
いつまで続くことやらこの工事。
今後ドローンを使って測量するそうです。
 
前回は、ここのサイネージを観察したんです。
「前略ガウディ様、サイネージはお好き?」

それから、FCバルセロナのサイネージを。
「前略メッシ様、サイネージはお好き?」

バルセロナのサイネージはこの4年間にずいぶん進化していました。
これはどの都市を訪れても感じることなので、もうスケッチの必要はありますまい。


ただ、このコーヒー+紅茶+スープサイネージ自販機のように、初めて見かけるタイプがあると、うれしくなってシャッターを切ってしまいます。


今回はデジタル特区CiPの参考にと、海辺の施設をいくつか見回りました。
ただ、先方イチ推しの水族館は、世界一とされる日本の館を多数経験すると、さほど刺激はありません。
(これはマグロコーナーの日本文化紹介サイネージ)


その中で刺激を受けたのは、「CosmoCaixa」という科学館です。
Caixaという貯蓄銀行の財団が運営する施設。デザインが秀逸でした。


設立は2005年。
1億ユーロをかけて、3万㎡の敷地をぜいたくに使います。
上下30mのらせん階段を降りて、自然と科学の探検をさせるという趣向です。


物理、化学、数学、地学を探求するハンズオンの科学館。
お台場の科学未来館のようなものですが、これを民間が運営しているのが注目点。

 各国の都市を訪れるたび、科学館や子ども博物館には足を運びます。
 中でも出色はパリのラ・ビレット。20回以上訪れています。
「パリ、ラ・ヴィレットのデジタル科学館」

 NYCの子ども博やサンフランシスコのZOUMもメディア屋にとっては「欲しい」館です。
「ニューヨーク・キッズ出張報告」

 日本では名古屋市科学館がいい。
「名古屋市科学館に行ってきたよ」


CosmoCaixaはそれらに並ぶ値打ちがあります。
デザイン性で。
一企業グループが自らの趣味にあかせて創りきったという統一感です。


そのシックで豊かな空間デザインは、子ども目線の安っぽい素材や色使いとは無縁で、だけど子どもへの愛情がふんだんに注がれた代物です。


相次ぐテロで、バカンス客が南仏からバレンシアに流れる中で、ここは親子が過ごすには格好の空間。
だけどスペイン語とカタルーニャ語しか表示がないんで、読解には一苦労です。


1000㎡のジャングル空間が美しい。
大人のデートコースにもなっています。


感心したのはこの氷柱。
バカでかい氷、というだけで、大掛かりな機械仕掛けよりも、インパクトがある。

エンタメのコツを一つ学びました。

インターネットの次に来るもの

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■インターネットの次に来るもの

 ケヴィン・ケリー著、服部桂訳「インターネットの次に来るもの」。ネット後の30年を俯瞰し、今後を展望する教科書として読み返しました。

 原題の「Inevitable」、不可避なるもの、のほうが論調は見えやすい。分散、クラウド、リアルタイム。シェア、アクセス、リミックス、トラッキング。ぼくもこれらは「不可避」な要素であり、それらが未来を規定すると考えます。

 高速化、高精細化、小型化、低廉化・・これらは従来のリニアな「不可避」でしたが、ネットが別の不可避「群」を登場させ、それが過去30年を、そして今後も数十年を規定する。「リンクとタグは過去50年で最も重要な発明」という指摘にぼくも同意します。それがネットの本質です。

 ブロードバンドが勃興したころMITネグロポンテ所長が、1Gbpsでつながることよりも常時1ビットでつながっていることが重要と指摘しました。的確です。高速よりアクセス、リンク、シェア。そしてそれが現在のIoTやウェアラブルにつながります。

 ぼくは本書中、3つのエピソードに目が止まりました。1.全情報を格納する図書館、2.全人生を記録するログ、3.全人格のアバター、の3つです。実にそそられる提起です。

 1, 全情報を格納する図書館の構想。それは50ペタバイトになるとのこと。これまでに人類が作った曲は1.8億にのぼるが、MP3にすれば20テラバイト。2000ドルもあれば収納できるといいます。手のひらに収まります。その延長で、50ペタも「展望」できる数字です。

 かつてGoogleのエリック・シュミット氏は全情報データベースを作るには3世紀かかると話していましたが、3世紀かけて作ろう、ってことです。問題は、そうしてできた図書館は共有の資産になるのかということと、それを皆が常時共有できる時代に「知識」は必要なのかということ。

 2. 全人生ログ。起きている間ずっとカメラを回す研究者のお話です。拡張記憶アーカイブを自分が使うために構築するといいます。それよりぼくは、人生で見る映像全てを記録したアーカイブを共有することが引き起こす可能性に興味があります。

 70年分、つまり起きている間の人生分の映像をMP4にすれば10テラバイトと聞いたことがあります。もうみんな小遣い程度で人生総映像をHDDに収納し、みんながシェアできる。時間の同期を取ってリンクできる。その膨大な映像空間、異次元のリアル+バーチャル空間では何が起きるのか。

 この問いは、10年来ぼくが授業で学生に問いかける「想像のススメ」であり、ぼく自身、答えを持ってはいません。でも、既に技術はぼくらの手の中にあり、実行もたやすい。欠けているのはぼくらの想像力であり、想像する努力を払いましょう。

 ケリーさんはIoTによるライフログのトラッキング可能性を示唆し、ビッグブラザーの出現に言及します。ただ、街中の監視カメラがぼくらを震えさせる前に、リアルなテロや犯罪の恐怖が増し、監視IoTがぼくらの安心材料になっていることに注目すべきでしょう。

 ボストン・マラソンの爆破犯を突き止め、追い詰め、殺害するに至る、IoTカメラの映像に対する信頼感は、アメリカでもビッグブラザー観を古びたものにしていると見受けました。違いますか。

 3. 全人格アバター。フィルタリングによるリコメンド機能で、機械がぼくのことをぼく以上に知っていて、ぼくの好みのものを提示してくれる。そんなに快適で心地よい情報ばかりを得ることになると、視野狭窄に陥るかもしれないけど、ぼくはもう老人だからそれでいいや。

 その、ぼくをぼく以上に知り、ぼくを代行してくれる個人アバターの出現を心待ちにしています。ケリーさんはそのアバターが他人にレコメンドすることで報酬を得て稼ぐ可能性を示唆していますが、その前にぼくがそのアバター育成にドンと自分の資金を投じますよ。

 そいつはきっと、今のぼくよりうんと賢くて、うんと判断力のあるヤツになるはず。とっととそいつにぼくはいろんな仕事を任せたい。日々の雑多な職務の7割は任せられる。ぼくの仕事の大半はネットですんで。ぼくは超ヒマで創造的なめくるめく老後を送るのです。

 その場合の課題は、どこまでぼくはそいつにぼくを委任することが許されるか。そいつがしでかした発言なり指示なり約束なり契約なりを、どこまでぼくが責任取れるのか、ということです。そろそろ、その仕組みも考えていいと思うんです。

 ケリーさんはwikipediaの意外なる成功を引き合いに、世界中の地図がタダで見られたり、ソフトウェアが無償で開発されるさまを、不可能が可能となったと評しています。ただ、そうした「進化」はまだ「始まったばかり」とも表します。そのとおり。ぼくが本書で最も同意するのはその点です。

 ネット勃興から30年。大衆化から20年。グーテンベルク活版印刷の発明で本が大衆化されてからの560年に比べれば、まだルターの宗教革命さえ始まっていない段階。「不可避」なるものが本領を発揮するのは、これからなんじゃないですか。

 楽しみです。

変わっちゃいねえよ、リスボン。

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■変わっちゃいねえよ、リスボン。

リスボン。20年ぶり。
タクシーの運転手「20年ですっかり変わったよ」。そうですか。
どれほど変わっただろう。
窓から下がる洗濯物は減っただろうか。イワシを焼く煙は減っただろうか。路面電車は減っただろうか。


変わっちゃいねえよ。
洗濯物だらけだ。
西洋人がアジアをエキゾチックと見るように、東洋人の目にこれぞエキゾチックと映るのがポルトガル。
その風情は衰えてはいません。
多少こぎれいになり、エスクードがユーロに変わった程度で。


イワシもそのまま。炭で焼いて塩で喰う。サカナの喰い方を知っている。
ポルトガルと日本は仲良しだよね、と感じさせてくれます。でも、日本語メニューは店から失せた。
国力が下がった。と思う。


前回訪れたのは95年の春。阪神淡路大震災の直後でした。ここが1755年の大地震と津波で6万人を亡くしたことを知りました。今もその姿をとどめる廃墟。


これは震災前のリスボンを描く数十メートルものタイル・アズレージョ@国立アズレージョ美術館。映像の記録。
ヨーロッパ最西の都市。ロンドン、パリ、ローマより数世紀前からの都市。

3.11の直後、この街をバックに消臭力のCMがぼくたちを励ましてくれたのは記憶に新しい。
ミゲルくん。ありがとう。


「情熱のシーラ」14話「リスボンの憂い」が描く第二次世界大戦時のリスボンは、黄色い路面電車が歩き、ファドが響くアズレージョの町並みでスパイが暗躍します。その気配、そのまま。
(故障とか言って途中で降ろされた)


ヴィム・ヴェンダース95年作品「リスボン物語」は映像を集めるための旅の物語。録音技師が映画監督を追う。「映画が生まれた頃のまなざしで撮りたい」と叫ぶ。手回しカメラと録音機でリスボンを撮る。
ここは撮りたくなる街。


それから20年、映像は大衆化しました。ヴェンダースは「撮る」ことを今どう見ているんでしょう。リスボン物語に流れた「マドレデウス」の演奏を聴きながら、ぼくは網膜の記憶を上塗りします。


1584年には天正少年使節がこの教会に一ヶ月いたそうです。
彼ら、13歳だったんですよね。どんな連中だったんだろう。
伊東くん、中浦くん、千々石くん、原くん。会ってみたいなぁ。
イワシの塩焼き、喰ったか?


このトゥクトゥクぽい乗り物は以前はなかった。
この東南アジアっぽい情景はポルトガルに似合います。
早くからアジアに進出していたからなのか、混沌とした歴史の中で雑多なものが入り組んできた場末感のせいなのか。


こんな二人乗り電動車があちこちでレンタルされてます。
トヨタ様、i-ROADは観光地でこういう用途がいいのでは。京都あたりで。


独り身のころ。
土曜半ドン、1200円の渋谷サウナで水分ぜんぶ出して、東横の地下でコレ買って、バスで寮に戻って一気飲みしながら、「テレビあっとランダム」をみる。
もっと生産的なことをしていたら人生は変わっていた。


ポルトガルのラブホ。
ではない。世界遺産だそうです。
ドイツのノイシュバンシュタイン城を作った人のいとこが作ったそうで。


そして、コインブラに来ました。
ポルトガル第3の都市。大学を中心とする文化の中心。
リスボンが東京、ポルトが大阪とすれば、さしづめ京都か。
いや、狭い路地を馬が往く文化の十字路は、姉妹都市、モロッコのフェズに近い。


欧州の名門、コインブラ大学。
設立は1290年。ボローニャ大学の2世紀後にできた。学生たちは今も黒マント姿です。


仔山羊のワイン煮「シャンファーナ」を喰い、街角の哀しいギターを聴いていると、「嘆きのボイン」を口ずさみたくなった。
ちっちゃいのんがコインやでぇ。
そうか、月亭可朝師匠はこの世界観だったのか。
これがホンマのファドやおまへんか~。


ローマ、イスラム、ムーア人の支配を経て、海からの敵の侵入を防ぐため砦が築かれたオビドス。
クロアチアのドブロブニクより、こっちの壁のほうが巨人は壊したがりそうです。


1番の乗車券を持ってバスに乗ったら、痩せたヒゲ男が1番2番の席を占拠している。
そこボクの席だがというと、オレのだと言いはってヒゲが見せた券には12番とある。
ヨーロッパの青いバカでた~w。好きだ~っ。


こんなかんじのオヤジ。
後ろのフランス人夫妻にお前が間違っていると諭されてしぶしぶ12番の一席に移ったが、ずっとケータイで誰かに怒鳴っていた。人生楽しそうだ!


で、リスボンのイワシですが、民族の威信にかけて、ワタも頭も骨もきれいにいただきました。

食堂のおばちゃんは、当たり前だ、てな顔をしてました。

知財本部 新情報財委員会

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■知財本部 新情報財委員会
知財本部「新たな情報財検討委員会」がスタートしました。カドカワ川上さん東大喜連川さん福井検索弁護士NTV宮島さんら昨年の「次世代委員会」メンバーに加え、UEI清水さんトヨタ飯田さんヤフー別所さんら。東大渡部さんと並び、ぼくが委員長を務めます。

昨年の次世代委員会では、AI創作物等について世界に先駆けて議論したが、今回はさらにビッグデータやIoTなどに議論を広げるとともに、著作権以外の産業財産権を含む議論を展開するもの。昨年も頭を抱える難問でしたが、今回はもっとヤバい議論になりそう。

環境変化は、
1)IoTの進展でビッグデータの収集・共有環境が実現。
2)クラウド利用で計算処理能力が向上、ブロックチェーンでデータ利活用も進展。
3)改正個人情報保護法等により法的な基盤も整備。
しかしデータが死蔵されているという指摘あり。

検討の視点は3点。
1)産業競争力の強化
2)保護と利用のバランス
3)国際的な整合・調和
このうち1)に最重点を置いて進めることが会議で確認されました。

課題は2点。
1)データの保護・利用、2)AIの作成・保護・利用。
1)はIoTで大量に蓄積されるデータの権利について、そしてプラットフォーマーの優位性について議論し、産業競争力の強化を図る。
2)はAI創作物に加え、学習用データセットや学習済みモデル等についても知財問題を整理する。

課題1について。生データ自体は不正競争防止法上の営業秘密として以外は知財権で保護されていないが、生データやその蓄積したビッグデータの知財をどうみるか。保護すべき部分があるか。データについてもオープン・クローズ戦略があてはまるか。

課題2について。AI学習用データセットや学習済みモデルは知財制度上どのように位置づけるか。AI創作物に保護が必要となる場合はどのような場合か。

会議ではさっそく、生データやビッグデータの定義が不明確で議論が拡散する、AIの進歩が早すぎて議論している間に状況が変化してしまう、という議論の対象についての指摘がありました。

さらに、国際的ハーモナイゼーション、省庁間連携を図るべしとの指摘。特に後者についてAIやIoTは政府内に10本ぐらいの会議が乱立しており、知財本部としてはその連携・調整は重要な使命。


法制度や契約など保護の手法も論点になるほか、制度論だけでなく、利用促進策や振興策など幅広いメッセージを出すべきとの指摘も。さて、それらを踏まえ、これから議論がスタートです。

紅白のポルト酒とピンクのちょうちん

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■紅白のポルト酒とピンクのちょうちん

カモメが呼ぶ。窓を開けると汐の匂いが強い。ドウロ川の脇、大西洋が近い。
ボストンに住んでいたころは、まいにち大西洋を見ていたけれど、こっちが大西洋の正門なんですよね。
ポルトに来ました。


リスボンが東京なら、ポルトは商売の街、大阪。
リスボンの人口は50万人。ポルトは24万人。日本の10分の1から100分の1。
つつましく、騒がしい。


倒れたままの物乞い、陽気なよっぱらい、痩せこけたジジイと腹の出た若い女のペア、仕事をしない工事現場の連中、鼻輪で丸刈りのウェイトレス、へったくそなギター弾き。
場末っぷり、ナニワっぽい。
こいつらの先祖が南蛮という連中。好きです。


濃いヨーロッパに、アラブやアジアが交じり合ったような、荘厳でいかめしく、でも下品な喧騒が夜ごと続く、そう、イスタンブールに似た風情があります。
油断するとおっさんが寄ってきて「コカあるよ」とささやく。
好きです。


マカオの、ポルトガルとアジアの混血模様を見た後だから殊更そう見えるのかもしれません。
→マカオを訪れたツイート。

→どこを歩いてもぼくが切り取る風景は似たようなものですが。



ブランコ、ビスケット、ボタン、かぼちゃ、パン、タバコ、天ぷら、コップ、おんぶ。
この国から伝わった言葉は今も生きています。
京都・先斗町のポントもそう。先端、ですね。
南蛮は先端を走っていました。


フェニキア、ギリシャ、ローマ、西ゴート、イスラム、キリスト。
支配者が変わり、15世紀には栄華を極める。
この水辺からブラジル、インド、マラッカへ出向く。
一転、16世紀から5世紀間の衰退を知ることになります。 


99年にマカオ、2002年に東チモールが独立して、21世紀初頭に15世紀以来の帝国が終焉しました。
どういう心境だろう。
これから衰退をたどりそうな日本の鏡か。
いや、高度成長から停滞へ転じた今の日本の心持ちか。


広場ではサンバやボサノバの大音量。
だらしなく踊る男女。
リオ五輪があったからといって、かつて支配したブラジルの音楽を楽しむのにわだかまりはないものか。
だからといってファドは哀しすぎます。


南蛮って、唐辛子とネギのこと。
鴨なんばん、大好き。
カモネギのことなんだよね。
これはポルト名物、牛の内蔵煮込み、トリパス。
トリパス、トリパス、ルルルルル。



アズレージョと呼ばれる美しいタイルは、ペルシャ人、ムーア人伝来のもので、ポルトガルの各地に根付く文化。
ポルトガルの旅は、アズレージョの確認作業でもあります。


街の有名人はロザ・モタ。
ロザ・モタといえばパンチ佐藤。
他に有名なポルトガル人って誰?
フィーゴにCロナウド。スポーツ選手ばかりだ。
歴史ではバーソロミュー・ディアスとかバスコ・ダ・ガマとか難しい名前を覚えさせられたけど。


エッフェルの弟子が作ったという橋をみな自慢します。
いや、フランス人を持ちあげなくとも、ポルトにはいいものがうんとあるよ。


世界で一番美しいと評判の本屋。
ハリーポッターのロケ地にもなったとか。
入場に3ユーロ取るのに、開店時に300人も並んでいて入れず。
いや、ポルトはそんなものに頼らなくったって、ほかにうんといいものがあるよ。



たとえば、ポルト酒は、赤より白のほうが素直でスキ、という発見。


たとえば、これが後の ひょうきん族の神様である。
と思った。


デジタル十大ニュース2016

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■デジタル十大ニュース2016


デジタル十大ニュース2016、ネット投票結果が出ました。
 総数10930票。ありがとうございます。
 結果は以下のとおり。

1. ポケモンGO 配信開始
2. PS-VR発売 VR普及元年 
3. PPAP YouTubeから大ヒット
4. Google AI アルファ碁、人間に勝つ
5. 邦画大ヒット「シンゴジラ」「君の名は」
6. プログラミング教育必修化へ 
7. 4K出揃う。リオ五輪8K生中継も。
8. キュレーションサイトの閉鎖ドミノ。
9. ソフトバンク、ARMを買収 IoT本番へ
10. チケット転売問題勃発


 AR・VRがワンツーフィニッシュ。底抜けAIR-LINE古坂大魔王の世界進出も上位進出です。映画、ウェブ、教育。話題が分散したのも今回の特徴ですな。AR・VR、AI・IoT、4K・8K、PP・AP。
 10位のIT vs 音楽業界のチケット転売は当事者っぽくもあり、コメントを控えます。

 10位の選に漏れたものには、
・マルチメディア放送i-dioスタート
・AbemaTV ネットテレビサービス普及
・メディア予想大外れイギリスEU離脱/トランプ氏当選 
・LINE流出でセンテンススプリング 
・保育園落ちた日本死ねブログ炎上
なんてのがあります。
 トランプさんメイさんパクさんアベさん、今年はどうなりますかね!
 ではまた来年!



過去4年の十大ニュースは以下のとおりです。


◯デジタル十大ニュース2015
1位 ネットが暴いた五輪ロゴパクリ問題
2位 首相官邸にドローン落下ですぐ規制
3位  AI・IoT狂想曲
4位 Apple、Google、AWA、LINE、サブスクリプション本格化
5位 マイナンバー制度開始
6位 DSにWii、任天堂岩田社長が逝去
7位 自動運転、グーグル、アップルなどの覇者争い
8位  VW、不正ソフト利用で排ガス規制逃れ
9位  ペヤングvsゴキブリ、販売停止と復活劇
10位 オンライン学習サービス、いよいよ本格化


◯デジタル十大ニュース2014
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2015/02/2014.html

1位  LINEで決闘:「決闘罪」が適用される
2位  論文コピペ発覚で大問題~STAP細胞はあります~
3位 プログラミング教育 本格化
4位 ウェアラブル機器続々:GlassやらWatchやら
5位 非実在小4、どうして解散するんですか?を問う
6位 3Dプリンター事件:銃とかわいせつなものとか
7位 ベネッセ個人情報流出
8位 ロボットPepper登場。ロボットペットも復活。
9位 角川ドワンゴ統合
10位 mixi モンストで大復活!   


◯デジタル十大ニュース2013
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2014/02/2013.html

1位 バルス祭り 14万tweet 世界記録塗りかえる
2位 特定秘密保護法とNSA通信傍受
3位 3Dプリンター低価格化で身近に
4位 オープンデータ進展
5位 冷蔵庫に入る若者たち~炎上相次ぐ
6位 ホリエモン出所
7位 あまちゃん・半沢直樹、テレビの底力
8位 4K8K/Hybridcast次世代テレビに期待感
9位 大阪市・荒川区・武雄市が2015年度までに子どもにタブレット配布
10位 ウェアラブル・コンピュータ時代到来か


◯デジタル十大ニュース2012
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2013/01/2012_26.html

1位 どないしてん日本家電産業
2位 LINE8000万人、無料通話ソーシャルサービス戦国時代へ
3位 違法ダウンロード刑罰化
4位 コンプガチャ問題
5位 炎上大国ニッポン:市長も社長も教育長も
6位 ソーシャルなデモ多発:原発やら反日やら
7位 遠隔操作ウィルスで警察手玉に取られる
8位 アノニマス大暴れ!ACTAとか霞ヶ浦とか
9位 スマートテレビ始動:放送、通信、メーカーの本格対応
10位 ビッグデータは宝の山?


◯デジタル十大ニュース2011
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2012/01/2011_14.html

1位 スマートフォン急激に普及 上半期出荷台数は1000万台超
2位 スティーブジョブズ氏死去
3位 復旧作業や安否確認にソーシャルサービスが活躍
4位 通信・放送融合法制が施行
5位 震災後 TVのネット配信が一時実現
6位 facebookの加入者 日本で1000万人突破
7位 タブレット端末 各メーカーから出揃う
8位 地デジ、被災三県除き整備完了
9位 DeNA野球参入に楽天が反対
10位 サイバー攻撃相次ぐ

ブロックチェーンは革命なのか?

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■ブロックチェーンは革命なのか?
ドン+アレックス・タプスコット著「ブロックチェーン・レボリューション」を読み返しています。

ビットコインに代表されるブロックチェーンの技術は、インターネット開発以来、それに匹敵する革命と、高い期待が寄せられており、その髄をつかみたく。

P2Pネットワークが支える、あらゆる取引が記録された世界規模の帳簿。「分散型台帳」とも称される技術です。

それは情報のインターネットに対し、「価値とお金」のインターネットであり、信頼のプロトコルであると評します。分散、パブリック、高セキュリティが肝、だそうです。

スマート契約によって、オープンなネットワーク型企業がこれからの主流になります。政府もオープンになり、利益団体の影響力は衰え、より誠実で透明度の高い政治となります。クリエイターが業界の世話にならなくても作品の対価を受け取れます。だそうです。よさげです。

各システムが個別に格納していた台帳データを共有すれば「サプライチェーンやトレーサビリティーなど複数の組織が連携する領域において進化を発揮する」(WIRED Vol.25  P72)。

個人同士で全取引が完結する、仲介するコアのない「脱中心」の世界を突き詰めれば、国家も企業も不要になっていきそうです。

MITメディアラボ伊藤穰一所長がデジタル通貨イニシアティブを形成し、世界の大学や研究機関を結集するとのことですし、世界の大手銀行もコンソーシアムを組むということなので、通貨や金融に関しては動きが広がりそうです。

ブロックチェーンはインターネットでいう1994年ごろの感じで、ここからの発展が見込まれるそうです。


と、伝聞調にしているのは、ぼくにはまだどこまでスゴいのか、ストンと落ちていないからです。とてつもなく大きな可能性を予期させつつ、手触り感に乏しい。ぼくの理解力が乏しいせいですが、技術の芯と、それの描く実像が固まっていないせいもあるでしょう。

94年ごろのネットって、スゴい感がスゴかった。それまでの通信を技術的に覆し、圧倒的なコスト低下をもたらす。1500円だった国際通信がタダになる。コミュニケーションが爆発し、表現の民主化が進む。全ての情報がデータ化し、マルチデバイスで統合コンテンツが流通する。

それにより、自律分散・民主化が進み、映像・音声表現の創造と発信が進み、アトム=現実空間がビットにも進出し、新ビジネスが生まれる、ぐらいの展望は描けていました。さらに、ビットがアトムにも進出するIoTを知ったのは98年。P2PM2Mに進むこともほどなく展望できました。

それに比べブロックチェーンの衝撃はまだつかみにくい。その技術応用の一つであるビットコインが送金や新種の貨幣として役立つことはわかりますが、ブロックチェーンが全ジャンルにどう波及・適用されるのかの本質が本書でも抽象レベルにとどまっています。

それはブロックチェーンがP2P、非対称鍵暗号、暗号学的ハッシュ関数、スマート契約などの要素技術の複合体で、ネットに比べて体系がわかりにくいせいもあるのでしょう。

本書はAirbnbuberも情報の集中による手数料ビジネスであり、ブロックチェーンを使えば各メンバーが組織を飛ばして主体的に運営できるといいます。ホテルやタクシー会社を飛ばすシェアエコ企業を、さらに飛ばす。でもそれはブロックチェーンを使わないとできないのか、が今ひとつ読めない。

本書に登場する「自律エージェント」は、人やロボットを雇いつつ、日々の意思決定をプログラムに委ね、取引条件を自動で実行して支払いを自動化するスマート契約のもとで動くといいます。期待します。ただ、そのためのブロックチェーンの必然性が何なのかを知りたい。

IoTにより、交通の自動化、インフラの管理、農業の効率化などさまざまなイノベーションがもたらされるともいいます。それも期待するところです。ただそれはIoTP2Pで概ね達成できる気がしていまして、そこにブロックチェーンがどう関わるのかを明らかにしたい。

オープンデータにも言及されます。政府のデータをブロックチェーンに乗せることで、高い利用効率と信頼性が得られるとあります。それには大いに期待するのですが、具体的に何がどうなってそうなるかをぼくが説明できないので、何とか理解したいところです。


ワクワクしつつも、今一つの納得と手触りを得ていないといいますか。
なので。やってみようと思っているんですよ。

本書に登場するエストニアの電子政府。ブロックチェーンを使って、デジタルIDを国民に付与、それにより、納税、銀行システム、交通の利用、学校の成績管理、医療のカルテ情報などを電子化したと。そういう手触り感がほしい。

エストニアではそのブロックチェーン電子政府により、20分あれば会社が設立できるようになったとのこと。その技術を日本で展開しようとしているエルテス社と連携して、ポップテック特区CiPで起業特区ができないか、という相談を始めています。手触ろうかな、と思います。

また、本書では、音楽エコシステムに関し、アーティストが透明かつリアルタイムにマイクロペイメントで報酬を受け取る姿を提示しています。これもポップテック特区CiPで経産省の支援のもと進めているアーティストのID+データベース構築「アーティストコモンズ」でやれないものかな。


ワクワク展望しつつ、可能性を見極めつつ、アクションを起こす。いつものそんなやりかたで、関わってみようと思います。

東京ゲームショウ2016

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■東京ゲームショウ2016

「東京ゲームショウ2016」@幕張メッセ。
前年の480社を上回る614社が出展し、過去最多の出展数だそうで。


今回の注目は、VRとeスポーツ。ソーシャルゲームに沸いた過去数年とはまたステージが変わりました。


もちろんPS4発売などもあり、家庭用ゲーム部門も賑やか。
ビジネスデーだったのですが、人気ブースは人があふれ、慶賀に耐えません。


VR本番です。ソニーはVR機器を50台並べ、海中遊泳やキャラクターとの会話を楽しめる展示。バンダイナムコ(サマーレッスン)、カプコン(バイオハザード)なども注力。


VRの特設コーナーも初めて設けられました。VRはまずはゲーム、エンタメから。そして医療、教育、職業訓練などへの応用が見込まれます。2025年には市場規模が8000億円に拡大するとの予測もあります。


その熱気は長蛇の列となって現れます。ビジネスデーでも、一つ体験するのに大苦労。


そんな中、GREEのブースで試してきました。「乖離性ミリオンアーサーVR」。
えいっ えいっ えいっ 
ゆる~いかんじでたのしくたたかっております。HTC製のHMDとスティックで。


ちょっと重いHMDはニンジャマスクの上に装着します。
業務連絡:ニンジャマスク、Amazonで100枚2980円で売ってるので買う。使いみちは買ってから考える。


家庭用ゲーム企業の出展は目立ちますが、ソーシャルゲーム企業の出展は控えめ。mixiもDeNAもガンホーも姿が見えません。GREEも今回はVR推しですしね。


もう一つ、今回楽しみにしていたVRが「スペースチャンネル5」。セガ・ドリームキャストの名作が15年でVRになりました。アップ、ダウン、チューチューチュー。うららの世界に没入します。


スペースチャンネル5が開発されたとき、ぼくはセガの顧問としてたいそう肩入れしたんで、うれしい。会場で開発者の岡村さんにもお目にかかり、面白かったあのころ、のお話をひとしきり。

ここに丁寧なレポートが。
「「スペースチャンネル5 VR ウキウキビューイングショー」プレイレポート。HTC ViveのVR空間に飛び込んで,うららのリポートショーを体感しよう!」

VRは井上理さんが解説してくれています。
「熱狂VR、可能性見せつけた東京ゲームショウ」


VRと並ぶ注目ポイント、eスポーツ。いよいよ日本にも波が来ます。
日本eスポーツリーグの開幕が会場で発表されました。
FPS、FIFA17、格闘ゲームの3種目を11月から年2回、半年間、戦います。


東京ヴェルディがeスポーツ部門を新設し、参入します。サンプラザ中野くん率いる「Naturals HOKKAIDO」、阪神タイガースの元投手・嶋尾康史さんの「インフィニティ大阪」など、参加チームは6つです。


ぼくが理事を務める日本eスポーツ協会が共催。
そしてこれもぼくと縁のあるtwitchが独占配信します。
(でもぼくは会場で偶然この発表に出くわすまで知りませんでした・・・)

リリースはこちらに。
「日本eスポーツリーグが11月にスタート。競技種目はFPS,FIFA17,格闘ゲームの3つ」


しかし、twitchのブース、デカいな。本気で日本市場を開拓する気ですね。
おもしろく、してください。


マンガ・アニメ人材育成事業でお世話になっている日本工学院。デジタルサイネージジャパンでお世話になっている東京工科大学。ここにも堂々と出展。エラいなぁ。こういう場に出ること、出してあげること。


しかも専門学校も大学も、学生さんたち腕利き。もうこんなに作れるんですね。企業は出たり出なかったりだけど、教育機関がたくさん軒を連ねていることに少しホッとしました。


わがKMDも南澤・チャリスチームがテレイグジスタンス参戦。研究者として、学会だけでなく、いやそれ以上に、企業やユーザなどの集結する前線に問いかけること。大事です。同僚ながら、エラい。


CGやVRの分野も長い歴史を持ちながら、まだ学者は学会に閉じこもる傾向があります。でも、ビジネスが動き、学生が作り始めると、研究者は居場所が狭くなる。みんなもっと出てきて遊ぼうよ。


VR、eスポーツという元気なジャンルと、それを支える研究教育機関。

「動き」を体感した2016でした。

イベンターとしてのテレビ

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■イベンターとしてのテレビ
「BACKSTAGE 2016」なるイベントに参加しました。虎ノ門ヒルズというゴージャスな会場。
案内には「イベンターの、イベンターによる、イベンターのための夏のフェス」とあります。

「海外から上陸してムーブメントを起こしたり、テクノロジーと融合して新たなコミュニケーション方法を獲得したり、顧客に語りかける場として有効活用されるExperience Marketingの最新事情についてイノベーター自らが語り、体感する場です。」読まずにコピペしてます。コメントは避けます。


「テレビ局が新たに仕掛ける「体験価値コンテンツ」」というセッションの司会を頼まれたので、ハラハラしながらおもむきました。
登壇者はTBSテレビ石井大貴氏、日本テレビ原浩生氏、フジテレビ橋本英明氏。テレビ局として体験価値=イベントを引っ張る若き代表です。

TBS石井さんはTBS石井大裕スポーツアナの実兄。吉田沙保里さんと3人でCD「目を覚ませ」をリリースしている。という時点でもう解説不能ですが、ドローンレース大会を企画運営したり、BMXの大会を仕掛けたりしています。KMDの博士課程の学生でもあります。

日テレ原さんは、huluの配信に関わりつつ、テクノロジー色をテレビに持ち込んだ番組SENSORSを手がけています。フジの橋下さんは、シルクドソレイユやらDMMのVR案件やらに加え、お台場でアイドルのエンタメライブに携わっています。

ざっくり言うと、TBS=スポーツ、日テレ=テクノロジー、フジ=エンタメ。横並び業界だった民放は、もう多様な戦略で独自色を強めていて、本業の外側へ若いプロデューサーたちがもんどり打っているんです。

地デジを20年かけて整備した後、テレビ局もようやくネットへのシフトを強めます。そんな中、世間はネットからライブ、バーチャルからリアルへの体重移動を進めています。これに対しテレビ局のライブ、リアル対応にも若いクリエイターが力を入れているということです。

アメリカはハリウッドが放送局も抱えていますが、日本の場合、放送が映画の面倒を見るなど、テレビの存在は大きい。良し悪しは別にして、歴史・政治的経緯からそうなりました。イベントも、お台場、汐留、赤坂、六本木、渋谷など、テレビ局の所在地を使ったものが存在感を見せます。

かつてテレビが強すぎた頃と異なり、外資のネットも強力になった以上、テレビの立場を叩くより、有効活用することが戦略だとぼくは考えます。なのでテレビ局がネット+リアルイベントにどう乗り出すか、興味があります。

テレビ局というバーチャルのサービス主体がリアルのライブを手がけることは、必然の方向とはいえ、リスキー。そこで彼らは多様な主体と手を組んでソーシャルっぽく仕事を進めています。放送局は従来、自前主義が強く、経済のバリューチェーンから独立していましたが、やっと社会の一員になるようです。

あんなに地デジにカネをかけたのに、人々は映像はスマホだってんで、インタラクティブテレビだのソーシャルテレビだの、もう次の地点にうつろう。ではライブに集まったかたがたを、スマホやソーシャルと結びつけて、テレビの本業にどう還元していくのか。あるいは、しないのか。彼らに問われるものは重い。

テレビはバーチャルの広告ビジネスでした。それがリアルのマルチビジネスに踏み出します。自己中心のモデルを他者連携に転換します。だけど、制作力・電波というソフト・ハードの資産を全面利用します。若いテレビマンは、そんな自信に満ちていました。


それぞれのプロデューサーは、2020東京の開会式を、どう企画しますかね。今度はそれを聞いてみたい。


4K8K@InterBEE 2016

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■4K8K@InterBEE 2016
InterBEE2016。今年ぼくは基調講演「2020 Tech & Pop」と、パネル「4K8Kパブリックビューイング」に登壇しました。


今回は過去最高の出店数だそうで。放送機器だけでなく、VRやらクラウドやら、周辺が育っっているとのこと。出展としてはVR、4K8Kが目立ちました。


今回注目したもの、ソニーCLEDIS。未発売の4K LEDディスプレイ。スゴい。ユニット組み上げのスケーラブルシステムなので、4面組み合わせて8Kにするとか、16Kとか、拡張性に優れる。2020本番で活躍してくれそう。


おなじみまるけん「マルチメディア放送研究会」。「よむテレビ/さわれるテレビ」。モアテレビ+字幕[巻き戻し]機能+SyncCastです。着々と進化しています。


「貯まる!byフジテレビ」。フジテレビの番組企画に参加したり、webサービスを使ったりして、コインをためる。クーポンやAmazonギフト券などに交換可能。テレビを見て、もうける、という仕組み。フジテレビらしいですよね。

さて、4K8Kパブリックビューイングのパネル。その将来性は?との問いから始まりました。以下ぼくのコメント。




地デジで20年かけてHD化を達成した直後、もう4K8Kという。そこにニーズはあるのか?と思ったが、ここ数年のサイネージの4K化でニーズを確認、そして8Kパブリックビューイングを「体験」して、これは「来る」と思いました。


300~520インチの8Kで、視界をスクリーンに覆われ、22.2chの音響に囲まれると、「視る」のではなく「居る」という感覚となります。これまでの鑑賞とは別物のメディア体験です。会場で観てるより面白いでしょう。これはぜひ「参加」「体験」していただきたい。


大相撲の8K生中継を体験しました。等身大の力士がまわしを叩く。力士が頭蓋骨をぶつけ、ウッと呻く。その音。行司が着ける衣装のツヤや金糸銀糸の輝き。砂かぶりに陣取るより、もっとリアルなAV環境で、興奮しました。


渋谷のNHKホールでリオオリンピックの8K大画面中継も見せてもらいました。520インチ。映画館よりデカいサイズ。4Kプロジェクタ4台で8Kを作ります。NHKはリオに20台のカメラを送って、現地から光ファイバで同時中継していたんです。


5月に設立した映像配信高度化機構は、4K8Kのパブリックビューイング会場を2020年までに100か所整備する計画です。


パブリックビューイング整備はデジタルサイネージコンソーシアムとも連携します。コンソーシアムの設立は約10年前。当時はまだ「電子看板」で、ネットワーク化とコンテンツ充実が課題でしたが、クリアしてきました。4K8Kも時間かけてがんばりましょう。


4K8K PVは、30年前のハイビジョン、20年前のウェブ、10年前のサイネージと似た状況。10年後には、どうにかなっていましょうよ。


総務省はおもてなし防災クラウドサイネージの整備を推進しています。デジタルサイネージコンソーシアムも国内標準システムを整備することで応えていきます。


B2Cのエンタメビューイングだけでなく、医療や教育のB2Bにも期待します。超高精細の遠隔医療は既に始まっています。学校の壁を4K8Kにしたデジタル教育も有望。医療30兆円市場、教育20兆円市場のデジタル化を進めましょう。

出版ビジネスの海外戦略

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■出版ビジネスの海外戦略
「クールジャパン・出版ビジネス・パートナーズフォーラム~作者・版元・書店それぞれのクールジャパン戦略」。東京国際ブックフェアが開催されたビッグサイトにて。講談社吉羽治さん、手塚プロダクション清水義裕さん、KADOKAWA塚本進さん、アニメイト外川明宏さん。ぼくが司会。

東京のデジタル特区CiPはビジネスマッチングを活動の柱にしています。既に動画協会に協力して、アニメ・ビジネスパートナーズフォーラムというアニメ業界と他業種との連携策を進めていまして、それをマンガ・出版業界でもやってみよう、というのが今回の取組です。

冒頭、政府・知財本部の増田次長にお話をいただきました。「海外でクールと思われている日本文化を海外に発信・展開してインバウンドに日本の経済成長に繫げる活動をしていく。キーワードは「連携」。民が主体となり、官が支援していく。」政府は本気。

吉羽さんは、北米進出50年を迎える講談社が、米欧アジアの展開に注力していること、電子出版を重視していることを話されました。書籍のライセンスは中韓台が90%である一方、マンガは米仏独韓台で80%だそうです。

講談社はアニメのサイマル配信を重視。アトラクションにも力を入れている。マンガ、アニメ、映画、という積み重ねがここに来て力を発揮している、という分析です。

手塚プロ清水さんは、700タイトル400冊という手塚治虫の知財をさまざまな形で展開しているといいます。鉄腕アトムをアニメ、実写でフランスやハリウッドで展開したり、パロディを許して収益を得たりするという戦略。

清水さんはキーワードとして「コラボ」を挙げます。海外でさまざまな作家、クリエイターたちと連携して、手塚のIPを活用していくという方向です。

アニメイトの外川さんは、2016年2月に開いたバンコク店を紹介してくれました。講談社やKADOKAWAとも連携して展開しているとのこと。コスプレ・アイドルイベント、遊戯王公式大会、ガンプラ、セーラームーンパーティーなども開いているとか。

ぼくもバンコクでクールジャパンのイベントを開いたり、書店を見に行ったりします。コンテンツ、ライブやグッズを合わせたビジネスが広がっています。タイだけでなく、中韓、シンガポール、マレーシア、インドネシア。広がりを見せていますよね。

KADOKAWA塚本さんは、現地のネットワーク化とサイマル、という戦略を強調されました。マレーシア、北米、中国、タイ、台湾という拠点で、出版、ネット配信、人材育成、さらにそこからのインバウンドという幅広い狙いです。

特に、クールジャパン機構の資金も使って人材育成に取り組む、そしてインバウンドを狙うという、いずれも長期をにらむ戦略にぼくは強く惹かれました。


さて、3点うかがいました。

・海外展開を行うために必要なことは?
答え:地域に合わせる。現地のマーケットを見る。現地の人が喜ぶものを作る。時間をかける。
なるほど。売りたいものより、買いたいもの、ということですね。

・課題は?
答え:同時性=日本のファンと同じ時間に同じものを見られるようにする。完成保証の保険(訴訟のカバーが出来る保険企業が日本では少ない)。海賊版対策。人材=語学力、コミュニケーション力。

・政府への要望は?
答え:海賊版対策。保証・保険。人材育成支援。
なるほど。みなさん補助金行政というより、インフラ整備をお望みだと。


政府がコンテンツの海外展開を柱にするようになって5年。ようやくコンテンツ業界全体にリズムが出てきました。これをヨコ連携で広げていく。実はこのシンポ、予想以上の申込みで多くのかたがたに来場お断りをせねばなりませんでした。この機運を早く成果に結びつけたい。よろしく!

韓国のコンテンツ・インキュベーション

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■韓国のコンテンツ・インキュベーション
韓国文化大陸観光省に属するコンテンツ振興院KOCCA。そこが運営するインキュベーション施設CEL(Creative Economy Leader)を訪問し、デジタル特区CiPとの連携策を協議しました。

KOCCAはコンテンツの人材育成機関CKL(Contents Korea Lab)もソウルで運営しており、CELはそこから派生した起業支援組織。韓国政府がコンテンツの育成にかける意気込みに日本は遠く及びません。

CKLは過去2度訪れていまして、これまでレポートしてきました。
「Content Korea Lab訪問記」

「拡張するコンテンツコリアラボに刺激を受けました。」


CELはソウル中心部に17階のビルを構え、未来創造科学省とも連携して起業サポートしています。昨年12月にオープンし、700社の応募の中から選ばれた93社が入居しています。


1社30~90㎡が家賃タダで与えられ、2~4年の入居が可能。24時間オープンの開放・共有空間が用意されています。


CJエンタテイメント社が賛同して、スタジオや編集などの施設を提供しています。

CJエンタメ社はソウルの「デジタルメディアシティ」にも、文化大陸観光省と連携して「文化創造融合センター」を整備しています。産官連携のモデル。
「デジタルメディアシティ@ソウル、やるなぁ。」


インキュベーション機能を提供する法律、会計、VC、コンサルなど11社が1フロアを使っています。これは非常に重要なインフラ。ベンチャーが入居する強いインセンティブになります。


同居する「コンテンツ価値評価センター」に目が止まりました。企業が持つコンテンツの市場での資産価値を計量化し、出融資を導くサービス。映画、ゲーム、放送、アニメなどの独自モデルを開発、20億円規模のファンドも設け、自らも投資するそうです。


公的機関によるこうした仕組みは世界初とか。8年ほど前、日本政府もコンテンツ資産価値を軽量化する構想があったが頓挫しました。韓国はやる気があります。
ただ、帰国後発生した朴大統領の政治スキャンダルにより、これら文化政策が影響を受けるのは必至。今後の成り行きが心配です。


民間の動きも。現代グループのアサンナヌム財団が運営するインキュベーション施設MARU180も訪れました。


アプリ、VR、eコマース、医療、ウェアラブル、映像編集など1年半の間に9社が入居しています。


2つのVC、多くのサポート企業と連携して、オープンな環境を作って起業支援。CiPのイメージと近いです。


韓国外交部(外務省)ホン審議官を訪れ、これらの動きについて日韓連携を進め、世界市場を開く方策を考えることにしました。日本政府にもアクションを打診します。




ところで。
KMDの学生ユンイナンさんを訪問。博士号を取る前にスゴいラボを作ってしまった人(いいなぁこのラボ)。


マンガの原作者で、NAVER、カカオトーク、LINEでベストセラーをバンバン出してます。


マンガの原作を書きつつ、新人マンガ家を発掘、ウェブや紙のマンガを日韓で連載・出版し、さらにTV、映画、ゲームへとマルチ展開するビジネスモデルも構築したスゴい人。

ユンさんと韓国マンガのこともかつて2度ほどメモしました。
「スゴい! NAVERのウェブマンガ」

「3年ぶりのNAVER本社とYLAB」


マンガはスマホで見るもの、というジャンルを作り上げています。ユンさん、ネームをスマホにペン入力して作家に送ってるんですよね。このシステムで、日本より先に中国に攻め上がるみたい。


そして、ラボだけじゃなくて、学校も作っちゃった。200人が学んでいるとか。ここから育つマンガ家がユンさんのシステムに乗って世界に飛んで行く。大丈夫かな、日本のマンガは。




以上です。

2020年、ポップ&テック

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■2020年、ポップ&テック
2016年11月26日(土)、慶應義塾大学三田キャンパスで、「KMDフォーラム」を開催しました。大学院・慶應メディアデザイン(KMD)のフェス。ぼくが今年の当番教員でした。


テーマは「2020年、ポップ&テック」。ポップ、テクノロジー、教育、ビジネス、スポーツ、デザインなどの最先端の人物を招きつつ、2020を問いました。



大学の「プラットフォーム力」をデザインしてみたかった。デザイン、テクノロジー、マネジメント、ポリシーの4本柱と、産官学連携のリアルプロジェクトというKMDの哲学を活かし、いろんな人が参加して、みんなで創る日常をイベントとして体現してみました。


お越しいただいた主なかたがた:
ライゾマティクス斎藤精一社長、シン・ゴジラ樋口真嗣特技監督、XJAPAN SUGIZOさん、ホリプロ堀社長、吉田沙保里さん、遠藤利明前オリンピック大臣、伊藤達也元金融大臣、福田峰之衆議院議員、吉本興業木本公敏さん、サニーサイドアップ次原悦子社長、
C Channel森川亮社長、夏野剛さん、水口哲也さん、谷田光晴さん、筑波大学落合陽一さん、政策大学院大学牧兼充さん、東京大学稲見昌彦さん、一橋大学石倉洋子さん、板尾創路さん、おかずクラブ、トータルテンボス、はんにゃ、タケト、大西ライオン、イシバシハザマ、もう中学生、デッカちゃん、
内閣官房、内閣府、総務省、経産省、文科省代表。マンガ家、起業家、子どもたち、学者、学生、ドローンパイロット、力士、着ぐるみ軍団、女子着物集団など。
もちろん稲蔭正彦、古川享、石戸奈々子らKMD教員も。


この、大臣からデッカちゃんまでというラインナップこそが、KMDという大学院の示せる価値でしょう。みなさんどうもありがとう。


西校舎での特別企画「2020 ぼくらの開会式」では、リオ五輪の閉会式を担当したプロデューサなどメディア・アート分野を代表する5名が「デジタルテクノロジーが描く2020年未来の表現」と題し、開会式の提案を披露しました。


宇宙空間を使う壮大なプランが相次ぎました。総務省山田真貴子官房長はじめ、フロアからも各提案に対し的確なコメントが寄せられました。全てのプランを同時に実現すればいい、とぼくは考えました。


同ステージで、お笑い芸人、女性社長、ギタリスト、国会議員らが登壇し、産業や文化について議論しました。異色対談ということで化学反応を狙ったのですが、意外なる案の定、話は建設的に弾みました。


リオ五輪の閉会式、「マリオの服脱ぐの早すぎ!」と安倍首相にダメ出しする板尾創路さんの横で、サニーサイドアップ次原社長は「五輪でみんなが健康になることをレガシーにすべき」とし、「開会式なんかやめればいい」と提案。


そうか、やめてもいいのかも。宇宙プランか、やめるか。客席に並ぶ五輪関係者たちを前に、極端な提案がぶつけられるのも、このイベントの価値であったのでしょう。

西校舎「ワークショップコレクションミニ」では、よしもと芸人7組も参加して、子ども向けワークショップを実施。芸人の鋭い渾身のボケに対し、よい子がスルーで返すというツッコミを見せていました。


南校舎では、ARを用いた超人スポーツ「HADO」でレスリングの吉田沙保里選手らが対戦会を披露しました。「誰もが技術を身体に装着すれば、子どもでも吉田沙保里に勝てる。」昨年、超人スポーツ協会を設立した時からぼくが使っているキャッチフレーズです。


このステージ上で、6歳の男の子が吉田さんと対戦し、見事勝利を収め、キャッチを実現してくれました。ありがとう。


同時に、教育情報化に関するシンポジウム、起業家の卵たちのビジネスコンテスト、スペインIE Business Schoolとの協力による起業イベント、スタンフォード大学と共催の「IT政策研究会」なども開催されました。


会場には21台のデジタルサイネージを設置し、放送波を使った通信サービス実験を行ったほか、世界の国々をイメージした着物 数十着のおねえさまがたがお越しになり、百体の着ぐるみ軍団がそれに対抗しました。規制をクリアして場内でドローンを飛ばし、鉄道模型も展示し、とにかくあれこれやりました。


このイベントを企画し、ブッキングし、調整し、実行したのは、学生たちです。ステージにも学生たちが立ちました。留学生たちは開会式の提案ビデオを披露し、東京まりん氏は東京の夜のマラソンコースを提案。ビジネスコンテストに挑んだKMD学生チームは審査員の夏野さんらにボコられてくれました。

スポンサーはTBS、CANVAS、シミズオクト、Dlife、CiP協議会, デジタル教科書教材協議会、融合研究所、デジタルサイネージコンソーシアム、ニューフォリア、ぷれこす、SHARP、クラウドポイント、NTT IT、 三菱電機、KATO、東京コンテンツプロデューサーズ・ラボ。


協力はNECディスプレイソリューションズ、TV番組「しまじろうのわお!」、ソニーマーケティング株式会社、超人スポーツ協会、よしもとクリエイティブ・エージェンシー。

 お世話になりました。

 レポートをここにまとめておきます。


運命背負いイスカンダルで

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■運命背負いイスカンダルで
この男、エイドリアン・チェオクという。かつてKMDの同僚であった。いまロンドン大学の教授と兼務で、「イスカンダル」にて運命背負いSEX ROBOTの開発をしている。怪しい友人であります。

イスカンダルはいま旅立つ宇宙の彼方ですが、それは「ジョホールバル」地域を開発するマレーシア政府のプロジェクト名でもあります。98年W杯の初出場を野人岡野が決めた歓喜の地、シンガポールから車で30分の隣接地、ジョホールバルは開発ラッシュなのです。

マレーシア政府はここにシンガポールの3倍、東京都に匹敵する面積の開発構想、イスカンダル計画を2006年から20年計画で進めています。香港と深センの補完都市構想にモデルを置いて、シンガポール+イスカンダル圏を作るという大構想。


大学、病院、電子・機械等の工場のほか、ハローキティタウンやイオンも進出しています。レゴランドもあります。その右側に隣接するのが、エイドリアンが所長を務めるイマジニアリング研究所。


イマジニアリング研究所はマレーシア政府等が設立したデジタルメディアの研究機関で、大阪大学、ロンドン大学、マレーシア工科大学等と提携しています。ギリシャ、カナダ、ロシア、イタリアなど多国籍の研究員がいます。来てみたらオマエも一員だと言われました。


SEX MACHINEチェオクの学生たちに研究デモを見せてもらいました。舌に電気信号を加え酸っぱさを伝えたり、熱で甘みを伝えたりする。味のデジタル化や~。完成したらバーチャルレストランを開設するという。


鼻に突っ込むデバイスに周波数やら何やらを送り匂いを伝えるシステム。まだ人体では試していないという。誰が最初に試すかモメている模様。好き、こういう研究。


チューするとくちびるにリアリティーが互いにネットで伝わるデバイス。
思いついたものを「実装する」ことは、尊い。


ここにはインキュベーション施設もあり、研究開発・人材育成・起業支援のエコシステムを強く意識しています。ぼくらのデジタル特区CiPとジャンルも仕組みも共通してまして、協業できないか可能性を探ります。


先日、豪州の学会で講演したエイドリアンの写真を見たら、裃すがたでした。豪州に着いたら、着られるものが直前に東京のドンキで買ったパーティー衣装しかなく、それでしゃべったという。パンクやの~


エイドリアンに連れられ、マレーシア工科大学の授業で一席。この大学、アジアのランキングで慶應の50位ぐらい上位。「慶應のエラい人に、ランキングどうやって上げるのって聞いたら、国内順位しか興味がないんだって。スゴいね。」って言われた・・・

ところで隣町、シンガポール。東京湾の再開発でもあるCiPの参考とばかり訪れているのですがね、




東京湾の夜も2020にはこんな感じになっていてもらいたいもんなんですが。倉庫ばかりじゃなくて。元はシンガポールも倉庫ばっかりだったそうで。


さて、今回のサイネージは空港の36面、この1点にしときます。


ニッポンの食はずいぶん市民権を得た模様ですが、


屋台のこの店がミシュラン一つ星に輝いたことに地元民は沸いていました。

な~んにも残らへん巨大な新喜劇はレガシーとなるか

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■な~んにも残らへん巨大な新喜劇はレガシーとなるか

KMDフォーラムで、レジェンド板尾創路さんが、リオ五輪の閉会式で安倍首相が登場した際「服脱ぐの早すぎ!」とツッコミました。土管の中でじっと待っていた安倍さんが、雨に降られて早く脱ぎたかったんじゃないかと思いましたが、「間があかん」との指摘です。

「ぼくら芸人にできるのは、「間」だけ。」という板尾さん。ここでボケる、ここでツッコむ、という「間」は、磨きをかけた芸人のみが体得している。安倍さんに「間」を教えて差し上げればよかったですね。

ちなみに、あの土管、KMDの学生だった清水佳代子さんの「シミズオクト」が作ったものだそうでして、家にあったでかい土管がなくなったと思ったら、リオ閉会式で現れた、とのこと。(シミズオクトにはKMDフォーラムに多大なる協力をいただきました。)

板尾さんに、よしもとが2020東京の開会式をプロデュースすることになったら何をするか伺いました。「そら数千名の芸人を総動員するんでしょう。でもそうなると巨大な吉本新喜劇ができるだけ。」との回答。

巨大な吉本新喜劇。いいですね。開会式でなくてもいいので、見てみたい。2020東京のレガシーは、新国立競技場や新アリーナじゃなくて、「全国民の笑い」のほうがいい。

サニーサイドアップ次原悦子社長は、同ステージで、「五輪開会式なんていらない」としつつ、「健康」がレガシーになればいいと指摘しました。うむ、箱モノやイベントなんかより、みんなでスポーツに参加して、健康や長寿のレベルが上がるほうが五輪開催の価値があります。


さて、フォーラム後も「巨大な新喜劇」がぼくに響いています。それがレガシー=遺産になるのかどうか。というのも、むかし、新喜劇のベテラン俳優が「な~んにも残らへん」芝居を目指すと言っていたからです。

爆笑してもろて、ああおもろかった、けど「な~んにも残らへん」のが吉本新喜劇の価値であると。それを至上とする気高さについて、学生だったぼくは、自分はそんな境地に到れるだろうかと考え込んだ記憶があります。

観客からすれば、新喜劇は、とりあえず笑ろてこましたろ、けど「芸」なんか求めへん、論評の対象にもならへん、ということであり、それは純粋なパンクだと思います。

先日、吉本興業創業者・吉本せいさんの生きざまを描く藤山直美主演「笑う門には福来たる」を見ました。よしもとの話を松竹新喜劇が描くという感動的な座組みで、大阪松竹座の館内をホンワカワッハ吉本新喜劇のテーマが流れてて、キュンとなりました。

ぼくのツボは、藤山直美さんが井上竜夫オマージュで「おじゃましまんにゃわ」をやってくれたこと、いま寛大さんが「ちょっとまってね」をやってくれたこと、ミヤ蝶美・蝶子がプチ漫才をやってくれたこと。・・まぁそれはいいんですが、

松竹新喜劇は松竹ですから、お客さまは、いい芝居、うまい芝居を求めます。「爆笑」にとってそれはノイズですが、そのノイズを期待してくる観客も多い。しかし、そんなもんおまへん、というのが吉本新喜劇。

愉快だがな~んにも残らへん、というのは、アメちゃんみたいなものか、と思いました。甘いけど、なくなったら腹もふくれてへんし、何も残らへん。ビキビキビッキーズでアメちゃんを客席にまいていた人が、新喜劇の「すっちー」になって乳首ドリルを披露しているのは必然だったのです。


な~んにも残らへん巨大なものを遺す。そんなパンクなこと、何やらやってみたい、気になっております。


改めて、青少年ネット対策。

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■改めて、青少年ネット対策。

総務省にて、青少年安心安全インターネット利用環境タスクフォースが開催されました。
ぼくが主査を務める会議で、内閣府、文科省のほか、安心ネット促進協、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構EMA、メルチメディア振興センター、電気通信事業者協会TCA、テレコムサービス協会、教育関係者、弁護士などが参加しています。

安心ネット対策は2008年ごろから本格化し、ぼくも世話人として安心ネット協を立ち上げたり、EMAの理事を務めたりしてきました。フィルタリング対策などによりガラケーでの不安はかなり低下したのですが、スマホに移行することで新たな問題が生じ、新たな対策を講じています。

実態に合った使いやすいフィルタリングの実施、情報リテラシー教育強化策、保護者対策、ケータイ販売店対策等がテーマとなっています。

高校生の保護者は、Facebooktwitter、ニコ動、LINEYouTubeいずれも許容度が高いが、小学生の保護者はFacebooktwitter、ニコ動の許容度が低いそうです。ただこれまでフェイスブックは小学生~高校生を一律で扱ってきました。

フィルタリング対策は、安心協、EMATCAが共同検討を続けています。安全性・利便性のバランスを取り、SNSを使いたいというニーズに合わせた新しいフィルタリングの仕組みを開発中です。

これを受け、TCA=通信キャリアは、各キャリアのフィルタリングのサービス名称やアイコン・アプリを統一するとともに、新しいフィルタリングサービスを提供する方針。業界としての努力を見せています。このタスクフォースの大きな成果だと考えます。

ただ、iOSAndroidOSレベルの対応が必要となってきます。AppleGoogleとの調整もポイントとなる点がガラケー時代との違いです。SIMフリーやMVNOをどうするかも新たな課題となっています。

安心協はリテラシー教材を整理し、プラットフォームを構築するとともに、保護者向けの啓発を強化する方針。マルチメディア振興センターは、ネット安心講座eネットキャラバンを講師3000人規模で推進、これまでの受講者は230万人に上ります。がんばってます。

ケータイ販売店の団体、全携協の治良事務局長によれば、店頭でのフィルタリング説明に時間がかかり、対応が不可能になっているとのこと。リテラシーやフィルタリングの認識を事前に持っておいてもらうことが重要と指摘。同意します。

森亮二弁護士は、学校でのフィルタリング推奨・義務付けを行えば効果が格段に高まるというデータに基づき、学校との連携強化を求めました。同意します。

これまで情報リテラシー教育策と教育情報化策は別々に進められてきましたが、デジタル教科書の制度化など教育情報化が本格化するに際し、これらを総合的に推進する必要性が高まっています。超党派の国会議員による議連が進める教育情報化推進基本法にも、リテラシー教育強化の項目が盛り込まれています。


デジタル教科書教材協議会DiTTも情報リテラシー教育対応を強める方針としています。情報リテラシー教育と教育情報化の関係者が連携を深め、総合対策を採っていくべき。改めて、あれこれ提案してまいります。よろしく!

シェアリングエコノミー、規制から振興へ

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■シェアリングエコノミー、規制から振興へ

 シェアリングエコノミー検討会議。
 内閣官房IT戦略室が主催。遠藤政府CIOがヘッド。総務、経産、厚労、国交、環境各省も参加しています。中央大安念教授が主査です。ぼくは東大・生貝直人さんらと並び委員を務めました。

 総務省・情報通信白書2016は、日本はシェアリングエコノミーの認知度が他国に比べ低いことを指摘しています。
 民泊は米87%、独86%、中91%、韓91%に対し、日本は72%。
 Uberは米85%、独80%、中91%、韓82%に対し、日本は48%。

 そして、その原因として、事故やトラブル対応など安全・信頼性の不安が高いことが指摘されています。利用面・需要面への対応、不安解消策が求められる状況です。

 昨年、政府が検討した際には、参入規制、情報提供義務、海外への規制適用など規制色の強い議論からスタートしました。

 しかしその後、シェアリングエコノミーの意義を強調し、振興するとともに自主規制で対応するという方向に舵を切りました。賛成です。振興と安全のバランスを図るスキームを作りたい、その思いから始まりました。

 会議冒頭、シェアリングエコノミー協会からプレゼンがありました。自主ルールと認定審査の組み合わせ、シェアリングシティ振興策について。自主規制を行う民間のベースはある、ということです。

 そして東大・生貝さんが官民による「共同規制」について説明しました。政府規制、民間自主規制の双方に難しさがあり、その間のグラデーションを解説。生貝さんはこの分野の第一人者になられましたね~。

 これに関し、産総研・持丸さんがコンサルと認証は別法人にすべきと主張。大学の博士号はコンサル(教育)と認証(授与)とが一体となっている、と鋭い!ご指摘。

 シェアリングエコノミーの場合、業法をどう適用・緩和するかが一つのポイントです。ただ、シェアリングは「業」じゃない「C2C」が柱になるため、業法の枠を超えるところからの議論が必要です。

 ここでは消費者保護が重要課題ですが、提供者も利用者も消費者である、という点に立つことも大事となります。

 これまではB2CのBを規制すれば効率的に回る、という業法の世界だったのですが、C2C、特に提供するCと利用CとPFの3極をどう制御するか、ということです。

 さて、サービスの水準を確保するため、事業者が自主的ルールを作る仕組み、サービス提供者を認定するような仕組みに議論が進みました。そして、そのためのガイドライン・モデルが検討されることとなりました。

 官民のある程度の合意のもとで、公的規制色の薄い共同規制の仕組みを作る。自由な米西海岸的アプローチと、従来の日本の業法的な規制アプローチの中間のどこかに落とし込む工夫です。

 もう一点、重要なのは、ビジネスの自由度です。

 業法で規制されているクロの領域と、ビジネスOKのシロの領域はいいとして、そうではないグレーゾーンが問題。そしてそこにシェアリングエコノミーのうまみもあります。しかしグレーだとシュリンクしてビジネスが起こりにくいのが日本。

 実は、そのグレーゾーンを解消する制度を盛り込んだ「産業競争力強化法」なる制度が施行されています。現行規制が適用となるかどうか不明の分野について、事業計画が適用されるか否かを省庁に確認してシロクロつけたり、規制緩和措置を提案したりできるスキームです。

 こうした制度の活用と、措置の拡充策もテーマとなりました。日本型のシェアリングエコノミーが元気に回るよう、知恵を絞り、アクションを起こす。その認識のもと、議論が進められることになりました。

 (つづく)

著作権制度の改正論議、大詰めにて。

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■著作権制度の改正論議、大詰めにて。


文化審議会著作権分科会WG。「柔軟な権利制限」の議論大詰め。3類型にして権利制限をやや「利用者側」に寄せようという作業です。ほぼネット利用への対応であり、必要な法整備。知財本部での議論を元に審議会で制度を具体化するものです。

ぼくは著作権は「制度よりビジネス」を標榜してきました。制度改正に何年もかかって、かつその効果が小さいのが通常だから。それより実サービス、実ビジネスで著作物の生産・流通・消費を増やすことのほうが効果的であり実効性が高いと考えてきたからです。

ただ、今シーズンの制度論議は、久しぶりにぼくも参加してみたところ、「大きな見直し」に向けて勢力が注がれていて、意味のあるものと考えています。政府・委員はじめこの問題に汗をかいているかたがたに敬意を表します。

ぼくは今回の審議会の方向性に賛成ですし、事務局にもよく整理してもらっていると考えます。審議会では激しい議論がありながらも、コンセンサスが取れそうです。しかし私の関心は既にその後にあります。発言はしなかったので、メモしておきます。2点あります。

まず第一に、これが法律として成立するのかどうかです。
これが利用者、権利者、産業界などステイクホルダーの理解を得られるのか、はもちろん重要ポイントです。法律となるためにはその環境整備が必要です。

国会・与野党にも本件についてはさまざまな意見があると聞きます。慎重派・推進派がなお割れているとか。かつてより著作権制度に対する注目度が高くなっていることも感じます。政府提出の法案が成立するには、政府と国会との間でかなりの調整が必要です。

また、そもそもこれが政府の成案として、内閣法制局を通って提出されるのかどうか。実はこれが一番気になっていることです。というのも、5年ほど前に同様の議論が審議会で行われ、いったん結論に達しながら、内閣法制局を通らないというできごとがあったからです。

今回議論しているのは、ネット上のコンテンツ流通の利便性を高める方策ですが、これはある程度、これから生まれるサービスや利用法を先取り想定して制度を作る必要がありますが、内閣法制局は、空想ではなく「実態」に基づいた法律を死守しようとするため、バッティングするわけです。

実態を先取りした著作権制度が作れないため、ネット検索サービスが日本で立ち上がらなかったという見方があります。だからチャレンジするため政府で議論しているのですが、実は壁は政府内にあるのです。

これらに対し、ぼくらができる、体外的なメッセージや動き方はないのか。これが第一のポイントです。

もう一点は、知財計画が求めているガイドラインの策定です。
「柔軟性のある権利制限規定に関連して、予見可能性の向上等の観点から、対象とする行為等に関するガイドラインの策定等を含め、法の適切な運用を図るための方策について検討を行う。」(知財計画2016)

法律にはざっくりしたことしか書かないので、細かいことは裁判で白黒つける、のが著作権制度のやりかたでした。通常の行政法のように、役所が解釈したりコンメンタールを書いたりしなかったんですが、今回、事前に白黒つけやすいようにガイドラインを作ろうというものです。


これは法案策定後の作業でしょうが、より細かい解釈や考え方を、審議会の委員やステイクホルダー、場合によっては立法府や司法の参加も得て作っていく努力をするのがよいと考えます。これまでの枠を広げる取り組みをすべきタイミングだと考えます。
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