■オタクサミットが開催されました
池袋サンシャインシティを拠点に、東京2020公認文化オリンピアードとして。
国際オタクイベント協会(IOEA)佐藤一毅代表が実行委員長です。
ぼくはオープニングで祝辞・講演申し上げました。
14世紀のペスト。教会の権威が下がり、産まれたのがルネサンス。
芸術と科学が産まれた。中世が去って近代が来た。
コロナは何を生むのだろうか。
アーティストもオタクも巣ごもる。
難儀な時代に生まれる表現がある。
ジャズもパンクも抑圧から生まれた。
新しいポップが産まれてくることを期待する。
クールジャパンという言葉が生まれて20年になる。
かつてはハラキリ、カミカゼに代表される「闘う国家」が日本のイメージだった。
これはトヨタ、ホンダ、ソニー、「闘う企業」に転換した。
いまこのイメージは、NARUTO、ピカチュウ、スーパーマリオ、「闘うキャラクター」に取って代わられた。
現代日本の文化が欧米に受け容れられているのは、カブキ、スモウ、ゲイシャといった旧来のエキゾティシズムやオリエンタリズムとは様相を異にしている。
そしていま日本のポップカルチャーが示す伝搬力、浸透力、影響力は、かつて浮世絵が印象派の誕生に与えた刺激よりもはるかに大きいと考えられる。
2018年、「世界オタク研究所」がスタートした。
東京・港区にポップカルチャーの集積特区を作る社団法人CiP協議会が国際オタクイベント協会(IOEA)と連携して、世界中のオタク研究者の総本山を作る構想だ。
創設に当たり私はこう申し上げた。
「オタク研究の第一人者をネットワーク化し、5大陸の研究者やファンが喜ぶ研究機関に育てたい。
世界オタク研究所は世界中の研究者の砂場になりたい。
自由に遊んで、勝手に山を作って、掘り下げられる。
同時に研究資金やビジネスのおカネが回る工夫もしたい。」
クールジャパンの悩みはビジネスだ。
2004年に政府はコンテンツの市場を11兆円から2010年には15兆円への拡大を目標に据えた。
現在、13兆円。目標には届いていない。
ただ、これらコンテンツを利用したキャラクター商品、観光などの関連市場は57兆円となる。
GDPの10%を占め建設投資額に迫る。
コンテンツ産業だけで見ればさほどのボリュームではなくとも、関連産業や波及効果・外部効果が大きく、コンテンツ「で」稼ぐ複合モデルが期待されている。
コンテンツ産業をブランド力やイメージを高める触媒として、家電や食品、観光など産業全体を成長させるのが政府の狙いだ。
ここ数年、コンテンツ市場は拡大基調で、特に配信等の「オンライン」は2011年から19年で3倍になった。
海外市場の開拓も進んでいて、日本コンテンツの海外市場は10年間で2倍以上拡大した。光も見えている。
2019年、スペイン・バルセロナ。
25年の歴史を持ち、5万人が集う日本のマンガを中心に据えたイベント「マンガバルセロナ」にて、IOEAと世界オタク研究所がタッグを組み、「オタクサミット」を開催した。
アメリカ、イタリア、中国、日本の研究者や活動家がオタクの課題と展望を熱く語った。
いずれの国もオタクのイメージは好転してきている。
かつてはニッチな領域だったが、メインストリームになってきた。
サブカルチャーではなくメインカルチャーとなってきた。
そういう指摘が相次ぐと同時に、オタクはグローバルに広がる、国境や体制や宗教を超えていく、という強い意見がみられた。
保護主義、右傾化といった世界のトレンドに対し、オタクが何をできるか。
その融和力をどう活かせばいいか。
オタクのソフトパワーを戦略的に活かせるかどうか。
さまざまな問いも投げかけられた。
オタクの可能性を改めて見直そうとするものだった。
その場にはスペイン・カタルーニャ州ヴィーヴァス文化大臣にもお越しになり、デジタル文化と技術革新の融合を進めるべくCiP協議会との協定の調印式も執り行った。
世界の東西の都市がポップカルチャーで組んで強みを発揮する戦略を進めようというものだ。
世界オタク研究所は、東京ベイエリアの竹芝地区にあるテック&ポップ特区「CiP」に置かれている。コンテンツやIT産業の集積するデジタル国家戦略特区を作るプロジェクト。
CiP協議会が母体となって推進している。
アニメ、ゲーム、音楽、ITなど50社・団体が参加し、2020年9月に街開きした。
ポップ&テックのイベントも竹芝で開く。
近未来を見せるショウケース。
「ちょっと先のおもしろい未来」。「Change Tomorrow」。どちらも、略称は「ちょもろー」。
第一回はオタクサミットの翌週に実施する。
テクノロジーにエンタメを融合させた新拠点で、世界のオタク研究を発展させたい。
ぼくのプレゼン。
「オタクニューノーマル!」