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Channel: Ichiya Nakamura / 中村伊知哉
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DX人材育成、どうする?

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■DX人材育成、どうする?



デジタル立国ジャパン・フォーラム。

「デジタル人材育成に挑む」登壇しました。

DX人材はIMDランキング63位。どうする。

片山さつぎ議員、経産省情報経済課和泉室長、SOMPOシステムズ浦川会長、デロイトトーマツ森執行役員と。

ぼくのコメントです。


1.DX状況認識

日本は没落した。競争力ランキングが平成の30年で30ランクダウン、賃金も低い国になった。

コロナで明らかになったのは、日本が劣っていたのはデジタル対応。デジタルで没落した。


テレワークは30年前から課題だったが主要国最低水準。

産業界以上に深刻なのは医療、教育、行政という公共分野。現場はFaxで危機に対応できず、オンライン授業は5%しかできず、国の手続オンラインは7.5%。

20年前のeJapan戦略と昨年の骨太方針はどちらも行政・教育IT化が柱。20年止まっていた。

 

AIIoTで第4次産業革命、Society5.0というが、日本は第3次産業革命にもSociety4.0にも届いていなかった。

まずこれを認識することがスタートライン。


しかし希望を持っている。遅れたのは、昭和の成功体験が強すぎたから。

産業成長では日本型経営がもてはやされた。

医療・教育・行政は「世界に冠たる」分野とされていた。

デジタルで刷新するインセンティブが乏しかった。


コロナで気がついた。そして地力はある。

コロナでの死者は少なく、ロックダウンなしに乗り越えられそうで、安全・安心は毀損しない。海外の人は戻ってくる。

今のうちに対応して、この状況をチャンスに変えたい。



2.DX人材の課題

人材の層が急激に広がる。

デジタル人材=IT専門家はベンダー、SIer、デジタル企業に偏在した。

だが全業種・職種がデジタル化し、全員がデジタル人材となる。

ベンダーだけでなく、金融も物流も製造も建設も農業も。

IT部門だけでなく、経営も企画も営業も総務も経理も。


トップ、ミドル、ボトムの3層で厚くする必要がある。

トップ=専門家を大学で育てる。

ミドルのビジネス人材をリカレント、研修、大学カリキュラム編成で育てる。

それ以上に、長期的には、全員のリテラシーを上げることが重要。PC1人1台、プログラミング必修化でようやく始まる。


iUは情報と経営でイノベーションを起こす人材を育てるために作った。

IT企業で働くというより、全産業でお役に立つデジタル人材。

それを全員インターンで企業とともに育てる。

開学1年で連携企業が250社に達したのは、産業界からのニーズがある証。



3.人材育成の戦略

平井卓也デジタル大臣から地域DX人材育成策を要請され、iUでカリキュラムを設計している。だが1校ではムリ。産学連携で全国展開したい。

教えるのはオンラインでできるが、ハンズオンで学ぶ拠点が必要。自民党案は6~9か所を整備としている。各地の大学を活用したい。


ただ、長期的には楽観視している。

10年後、PCモバイル世代のいま40歳あたりが社長になる。中学生が就職する。それまで凌げば大丈夫だろう。

必要なのは、世代交代だ。 


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