■NTT再々編の中で、R&D Forum。
NTT R&D FORUM 2020に伺いました。コロナで人はまばら。例年と空気が違います。
空気の違いは、ドコモ完全子会社の発表後だったせいかもしれません。
92年の分社化から反転、統合に向かう。
持株とドコモで分かれていたR&D体制も融合するのでしょう。
どうなる、NTT。
前回伺った際には、新任の澤田-川添体制がテクノロジー主導でNTTを牽引する勢いを目の当たりにしました。
抽出・同期伝送・再現の総合技術Kirari!やラスベガスでのスマートシティ実証に、AI/IoT時代へ立ち向かう真剣な眼差しを見ました。
「NTT R&D FORUMが示す底力」
http://agora-web.jp/archives/2037770.html
ぼくが役所にいたのはNTTの民営化から再編までの期間で、分割を巡る攻防ばかりでした。
99年にドコモがiモードを始めても、競争力を抑える政策が論点でした。
国内の競争が第一に考えられていました。
(Kirari!でバーチャル錦織さんと)
しかしIT化の20年、GAFAがサービスを席巻し、インフラ分野まで進出しようとしています。
メーカーも競争力を失いました。
通信の国内競争は進まず、国は携帯の値下げに躍起。
和製は全コケ状態です。
国内政策が世界に埋没しました。
(ウェアラブル聴診器で遠隔診療)
(遠隔地の観客同士で熱狂を共有する空間システム)
技術と協業です。タテとヨコ。テクノロジー主導と新市場開拓。
具体的にはIWONとスマートシティ。
(自分だけヘッドホン並みにクリアに聞こえるスピーカー)
今回のFORUMでもIWONが軸でした。
澤田体制が打ち出したテクノロジー主導のビジョンです。
80年代ニューメディアのINS、90年マルチメディアのVIP、2000年代ブロードバンドのNGNに次ぐ大構想。
(光ディスアグリゲーテッドコンピュータ)
IPを超える「オール光」によるネットワーク刷新と、サイバー空間に現実空間と同じモデルを作る「デジタルツイン」。
そこにAI、VR/AR、量子コンピュータ、バイオメディカルなどのテクノロジーが入れ子のように絡み合う。
GAFAやBATを超える気概が読み取れます。
「IWON構想」
http://ichiyanakamura.blogspot.com/2020/11/iown.html
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もう一つの柱、協業。
スマートシティなど次の大産業へ展開するには不可欠です。
トヨタと開発する裾野市の構想が典型。
Googleがトロント構想から撤退したのとは異なる、公共インフラ屋としてのデータ戦略をみせていただきたい。
NECや三菱商事など近ごろ発表された大型提携も気になります。
5G普及、国内通信競争、GAFA対抗、AI/IoT戦略、通信・放送融合とNHK改革。
NTTの再々編はその中で、技術と新市場開拓に踏み込むアクションです。
競合社にも、対抗する戦略を掲げてほしい。
なおも特殊法人であるNTT。そろそろ完全民営化を政治タイムテーブルに乗せる時期と考えます。
(雷システム)