■アーカイブ立国宣言!
福井健策・吉見俊哉監修「アーカイブ立国宣言」。
マンガ、アニメ、ゲーム、テレビ、脚本、音楽、書籍などの事例・課題・対策。これ一冊でぜんぶわかる。福井さんはいつもいい本を作るなぁ。うらやましい。
まずは巻末の「デジタルアーカイブ振興法」。
ぼくも議論に参加しました。オープンデータ、孤児著作物対策、税制措置、メタデータ整備、多言語化、相互接続、人材育成。正しい大仕事です。実行しましょう!
本書にはさまざまなかたが思いを寄せています。
森川嘉一郎明治大学准教授による東京国際マンガミュージアムの話。すばらしい。尊敬します。彼の著書「趣都の誕生」を経済産業研究所のサイトに紹介してもう10年になります。改めて本件の話を伺いたい。
細井浩一立命館大学教授のゲームアーカイブ。京都府山下「係長」の尽力で進んだという挿話があります。そういう偉人が数名いないと大きいプロジェクトは動きませんよね。山下さんを副知事に出世させた京都は、いいまちです。
細井先生や山下さんらとスタンフォード大学の学生らも交えて、任天堂の協力も得て、学生がゲーム制作に携わるプロジェクトを進めたのももう10年だなぁ。ぼくらのCiP構想で、スタンフォード-京都をつなぐプランを改めて立ててみたいと思います。
その細井さんのゲームアーカイブ論、オンラインゲームの保存が難問との件。これは知財本部でも論議中です。久夛良木健さんも動いておられます。ぼくはこうした師匠たちの下働きを何なりといたします。
植野淳子さんのアニメアーカイブ。対象となるアニメの総数は15万件、5万8千時間にのぼるという。大仕事です。よろしくお願いします。
藤本草さんによる伝統音楽のデジタルアーカイブ。SP原盤を複製するのを権利者がNoとしたことに対し、むしろアーカイブ化は今後権利を主張しやすくするための保全だと説得した話。これは重要な視点ですね!
2011年に去った市川森一さんが始めた日本脚本アーカイブス。2013年に去った富田倫生さんの青空文庫。お世話になった先人の願いをなんとかしたいと思い続けております。
宮本聖二さんによるNHKアーカイブス、NHKオンデマンド。植村八潮さんの書籍アーカイブ。長野県小布施町立図書館、札幌市中央図書館、その他さまざまな人たちによる奮闘が日本のアーカイブを支えている。それに頼りすぎていると考えます。仕組みを作らねば。
岡島尚志さんが、仏INA(国立視聴覚研究所)のテレビ番組アーカイブに関し「フランスは湯水のようにお金を使う」と指摘。国家が重点を置いているということです。他にも本書では2箇所にINAに言及。うん、注目しましょう。
青柳文化庁長官、御厨東大教授、吉見東大教授の鼎談も刺激的。青柳さん「伝統文化と現代文化の間に亀裂が生じた結果、社会全体が「不機嫌な社会」になりつつある」。これはぼくも気になっています。その連結作業はぼくらの仕事ではなかろうか。
メディアやフォーマットが変化していく中でのデータ保存法。式年遷宮を参考にするアイディア。千年以上前からのメタデータ(マニュアル)を元に、20年ごとにマテリアルを造り替える。そのように情報も変換・保存する。いいですね。
さて、アーカイブのための組織、ネットワーク機能が必要という議論。そこは賛成。だが、それをハコにしようとすると、こじれるのよ。アニメの殿堂100億円がポシャったのは、ハコものだったからだと思うんです。
100億円をゼネコンに渡すんじゃなくて、この本に登場する方々に、アーカイブの中味に使ってもらえば、グッと進むと思います。
福井健策・吉見俊哉監修「アーカイブ立国宣言」。
マンガ、アニメ、ゲーム、テレビ、脚本、音楽、書籍などの事例・課題・対策。これ一冊でぜんぶわかる。福井さんはいつもいい本を作るなぁ。うらやましい。
まずは巻末の「デジタルアーカイブ振興法」。
ぼくも議論に参加しました。オープンデータ、孤児著作物対策、税制措置、メタデータ整備、多言語化、相互接続、人材育成。正しい大仕事です。実行しましょう!
本書にはさまざまなかたが思いを寄せています。
森川嘉一郎明治大学准教授による東京国際マンガミュージアムの話。すばらしい。尊敬します。彼の著書「趣都の誕生」を経済産業研究所のサイトに紹介してもう10年になります。改めて本件の話を伺いたい。
細井浩一立命館大学教授のゲームアーカイブ。京都府山下「係長」の尽力で進んだという挿話があります。そういう偉人が数名いないと大きいプロジェクトは動きませんよね。山下さんを副知事に出世させた京都は、いいまちです。
細井先生や山下さんらとスタンフォード大学の学生らも交えて、任天堂の協力も得て、学生がゲーム制作に携わるプロジェクトを進めたのももう10年だなぁ。ぼくらのCiP構想で、スタンフォード-京都をつなぐプランを改めて立ててみたいと思います。
その細井さんのゲームアーカイブ論、オンラインゲームの保存が難問との件。これは知財本部でも論議中です。久夛良木健さんも動いておられます。ぼくはこうした師匠たちの下働きを何なりといたします。
植野淳子さんのアニメアーカイブ。対象となるアニメの総数は15万件、5万8千時間にのぼるという。大仕事です。よろしくお願いします。
藤本草さんによる伝統音楽のデジタルアーカイブ。SP原盤を複製するのを権利者がNoとしたことに対し、むしろアーカイブ化は今後権利を主張しやすくするための保全だと説得した話。これは重要な視点ですね!
2011年に去った市川森一さんが始めた日本脚本アーカイブス。2013年に去った富田倫生さんの青空文庫。お世話になった先人の願いをなんとかしたいと思い続けております。
宮本聖二さんによるNHKアーカイブス、NHKオンデマンド。植村八潮さんの書籍アーカイブ。長野県小布施町立図書館、札幌市中央図書館、その他さまざまな人たちによる奮闘が日本のアーカイブを支えている。それに頼りすぎていると考えます。仕組みを作らねば。
岡島尚志さんが、仏INA(国立視聴覚研究所)のテレビ番組アーカイブに関し「フランスは湯水のようにお金を使う」と指摘。国家が重点を置いているということです。他にも本書では2箇所にINAに言及。うん、注目しましょう。
青柳文化庁長官、御厨東大教授、吉見東大教授の鼎談も刺激的。青柳さん「伝統文化と現代文化の間に亀裂が生じた結果、社会全体が「不機嫌な社会」になりつつある」。これはぼくも気になっています。その連結作業はぼくらの仕事ではなかろうか。
メディアやフォーマットが変化していく中でのデータ保存法。式年遷宮を参考にするアイディア。千年以上前からのメタデータ(マニュアル)を元に、20年ごとにマテリアルを造り替える。そのように情報も変換・保存する。いいですね。
さて、アーカイブのための組織、ネットワーク機能が必要という議論。そこは賛成。だが、それをハコにしようとすると、こじれるのよ。アニメの殿堂100億円がポシャったのは、ハコものだったからだと思うんです。
100億円をゼネコンに渡すんじゃなくて、この本に登場する方々に、アーカイブの中味に使ってもらえば、グッと進むと思います。