■学長くんガチョーン. 杉山将さん
東大教授にして理化学研究所AIPセンター長。つまり、日本のAI研究のトップ。
41歳でトップに就いたのはスゴいし、就かせた政府もエラい。
◆日本のAI研究
世界のトップレベルの研究をする優秀な方は一定数いる。しかし数が少なく、層が薄い。
理化学研究所 革新知能統合研究センターでは10年間続けて基礎研究をやっていくが、そのためには周りをしっかり固める人材が必要。なので、日本国内だけでなく、海外から人を呼んで研究をしている。
◆シンギュラリティ
AIが人の能力を超える時代は来ないとは言えない。確実に様々な場面ですでにAIが人間を超えることが起こっている。我々はシンギュラリティの始まりの中にいる。
◆研究者とユーザ間のギャップ
研究系の方は技術の中身を知っているので楽しんで技術を開発している。一方で一般のユーザは自分の知らないところでデータを取られているのではないか・監視されているのではないか・AIに支配されるのではないかと心配する。なかなかそのギャップが埋まっていない。研究者側として説明をしていきたい。
◆技術を使ってもらう
私自身は籠もるのが好き。在宅勤務で、一人でやっているのが快適。技術を作る段階ではそれでいいが、実際にそれを使ってもらう段階では周りにいるいろんな方とコミュニケーションをとる。できる可能性をいろんな人に伝えて、少しでも実際のアプリケーションへ繋げたい。
◆研究所と大学
理研は研究所なので博士をとった後のポスドク研究員が中心。大学は大学院生や学部生が中心。年齢層や研究のマジョリティの度合いが違う。両方やる価値がある。うまくやればいいところがとれる。
◆いまの学生
常に優秀。いまの学生は幅広いいろんなことを知っている。我々の知らないことを持っているので、学生から教わることがある。
◆企業と一緒に
楽しい。大学は学生がいて、理研は公の機関の研究者がいて、企業はそれを実際にビジネス化していこうという馬力がある方がいっぱいいる。そこにいくと自身はぺえぺえの1年目。いろんな刺激をもらえる。そこから学び、基礎研究の種にする。
◆タイムマネジメント
時によって。本職は大学と研究所なので企業のアドバイザーは余った時間に。
◆学生時代
充実した学生生活を送った方ではない。あまり学校は好きではなかった。授業の勉強はそれなりにやっていたが、それ以上でもそれ以下でもなく。家でコンピュータやゲームをやっていた。ファミコン世代。プログラミングもその流れで自然に。
◆研究者の道へ進むきっかけ
何も迷わず、情報工学へ。大学へ入るとプログラミングが急に楽しくなくなった。大学ではあまり一生懸命勉強してなかった。
4年生で数学の理論を研究している研究室へ。いい先生で、そこで一緒に研究する中で面白いとおもうようになった。大学院に入ってから機械学習の研究を始めた。初めて大学に来た意味を感じた。授業を受けるばっかりで勉強はそろそろいいかなと大学生のときはおもっていたが、大学院生になって求められるのはアウトプット。そこでアウトプットするために勉強していたのだとわかった。大学院の1年生で必要だとわかり、学部1,2年生の授業を受けに行ったりした。そのときに初めて面白いとおもえた。
◆学ぶモチベーション
できれば1,2年生にこれからやるつまらなそうな数学の授業も実は役に立つことを何とか伝えたいと努力しているが、難しい。
◆日本の教育
あれもやろう、これもやろうと足すことばかり。引くことが必要。時間は有限。自分の好きなものを見つけて楽しく勉強をしてもらう。新しいものを作れどそれを潰すことは絶対できない。
◆キミたちへのメッセージ
焦らなくていい。人生長い。周りには若くしてすごく成功している人をみると焦るかもしれないが、22になっても30になっても40になっても新しいことはできる。嫌にならずに、自分のペースで楽しんでやっていくのがよい。世の中どんどん変わっていくので、ついていこうと努力するとしんどいので、あまり変わらないことをじっくりとやることが重要。
★後記
大学では勉強しなかったという。その後スイッチが入って、若くしてアカデミズムとマネジメントのトップに立つ。でも重さを感じさせないんですよね~。あこがれます。あこがれても真似できませんけど!