■NHKとNTTと総務省とジャニーズと民放
民放連の会議で2点コメントしました。
1 NHK、NTT、総務省
NHKのネット対応や受信料について総務省での議論の方向が定まってきた。
未だ民放・NHKの二元論の話になっていて、世界のネットの動きやデータ主導の話が薄いな、と、言いたいことはあるが、NHKへの規制緩和をどこで線引きするかという、政策というより政治の話。
まとまれば放送行政が一区切りついて、しばらく政府の仕事はない。
そのタイミングで今度はNTT法廃止の話がでてきた。放送にとっては、NTTの放送への出資が自由になる影響がある。これもNTTへの規制緩和をどこで線引きするかという、政策というより政治の話。
これもまとまれば通信行政が一区切りついて、楽天をどうするか以外にしばらく政府の仕事はない。
これで思い出すのが25年前のこと。当時、NTT民営化から12年がかりで進めたNTT再編成を仕上げて、次はNHK問題だと意気込んでいた郵政省にやってきたのが、橋本行革による郵政省解体プラン。今回も、おお仕事終えた総務省に来るのは省庁再編かもしれない。
2 放送業界と経済
もう一ついま放送を覆っているのがジャニーズ問題。事務所側は体制を変えず維持するのに対して、放送業界は受け入れた。少なくとも、取引停止をうたう局はなかった。これに対しスポンサーたる産業界、経済団体から異論が出て、改めてどうするという局面。
役所で放送業界を担当していたころ、最大の課題は、(広告や芸能を含む)放送産業が産業界から孤立し経済バリューチェーンに組み込まれていないことと考えていました。
広告費はGDP依存で、産業界がどうあれ成長期には安泰。だが経済が落ち込んでも産業政策と関わりがなく、助けてももらえない。
などと主張しても聞くひとはいませんでした。むしろそのほうが、つまり放送は独立がいいんじゃないかというかんじ。
そのころネットが登場し、産業界はそちらに体重移動したが、放送は融合を否定し、それでも安泰で四半世紀を過ごした。それがそろそろやばくなってきて、このところ放送側からネットへの踏み込みが強くなっている。
そして今回の案件です。産業界のコンプラ基準が国際化し、世界のチェーンに組み込まれたがっている。なのに、放送はその意識がなく、従来の姿勢で乗り切るつもり。それに対して経済同友会の新浪さんら産業界がズレを警鐘した。
放送産業がどう認識するか。他人事と思っていた総務省がどう政治のプレッシャーを受けるか。気がかりが続きます。