■学長くんガチョーン. 小松純也さん
「チコちゃんに叱られる!」を作っているひとです。「ごっつええ感じ」、「笑う犬の生活」、「SMAP☓SMAP」、「トリビアの泉」、「ホンマでっかTV」などなどを作ってきたひとです。つまり、レジェンド。
◆テレビとスマホの違い
根本は見て楽しいものをつくる。変わらない。
スマホのコンテンツはタッチパネルを使う点が面白い。テレビだと一方的に流すものをインタラクティブにできる。見ている人の視聴体験をカスタマイズできるのが面白く、楽しい。テレビとゲームの境目がなくなっていく。
◆つくることのきっかけ
常に新しいものを生み出そうと世の中を見渡しているわけではない。
他の人からきっかけをいただくことが多い。例えばチコちゃんに叱られる。
ディレクターから突然「アイスクリームの賞味期限は?」と書かれた紙を渡された。考えたが、賞味期限はなかった。そんなことも知らないで50年間生きてきたことが面白いとおもった。雑学のクイズだけだと知っている・知らないだけで、終わってしまう。本来は知っているはずのことを知らないで漫然と生きていることに点が面白い。そういうことを聞かれて答えられないと、小さい女の子に怒られるのはどう?という10分くらいの会話から生まれた。
面白いことが目の前にあるときに、そこを入り口にして日常の中で感じていることがつながっていく。
トリビアの泉。伊勢丹の紙袋が一番大きいのはなんで?へー。から生まれた。不思議なもので同じタイミングで同じ事を考えている仲間がいる。そういう仲間と立ち上げた。
◆仲間とつむぐ
自発的に考えたことはないかもしれない。しゃべっていて面白いな、と思ったことをアレンジする。自分で面白いとおもったことを、みんなと共有する仕組みを考える。
◆学生時代の過ごし方
大学へはほぼ行っていない。喫茶店で芝居やコントの台本を書いていた。そんなときに無理矢理なお題でコントを考えるときに、いろんなことをかき集めて掛け合わせて作っていくという訓練はかなり徹底的にやっていた気がする。
コントをつくることが多かった。うけるのはみんなの生活感覚の中にあることを引っ張り出してくること。日々自分の暮らしの中でおもうことなにかな、と感じることを大事にしている。なにか面白いことないかと、日々楽しく暮らしていたことが今につながるインプットの全て。
◆会社員時代と起業してからの違い
組織に入っている間は己を虚しゅうする。働くものの美学として。意見が違うものでも決まったことは責任を持って実行する。それが仕事。そういうのも素敵だとはおもう。ただストレスはかかっていた。やめた後は自由になった。
やめるきっかけとなったのは、テレビだけが映像エンタテイメントの唯一の出口をコントロールしている意識があったが、時代が変わってきて、配信やゲームなど色んなものがでてきて、人の時間の使い方が変わった。テレビ局の中で企画を実現するためには組織がそれにGoを出さないとできない。面白いだけでは出来ないことがある。
いまは面白いと思うことがあったら、いろんな放送局に持っていってもいいし、配信でもいいし、ゲームでもいいし、アプリでもいいしと考えられるようになり、アイディアが死なない。面白いと思ったことがなんかの形では実現できる。
◆キミたちへのメッセージ
父が「職人になるな」と言っていた。研究所にいたが、そこで専門の技術者になってしまうと人間としての可能性が閉じてしまう、と。言い換えると「プロフェッショナルになるな」ということ。もちろん、様々な技能を身に付けて自分の拠りどころや自信につなげることは大事。
技術が進んで、いろんなことへのアクセスが簡単になってきている。いろんなことが実現できる。自分が何者かということを決めてしまうと、そこからはみ出せなくなり、つまらない人生になる。アマチュアリズムをもってアウェーなところで、みなさんにかわいがっていただいて自分がやったことをないことをやる方が人生として楽しい。
★後記
物静かで淡々としている。ように見えて、現場ではやたら怖い。ということを吉本+NTTの映像プラットフォーム「ラフ&ピース マザー」のかたから聞きました。そりゃそうでしょう。大学の後輩ながら、かっこよくて、あこがれています。