■2030年のiUは?
2030年のiUは? という質問をいただきました。あと6年後のことです。
iU設立に向け書いたブログ「デジタル超学校」から6年たちました。
構想3年、開学3年です。
「「デジタル超学校」を妄想してみた。」2017.4
https://ichiyanakamura.blogspot.com/2017/04/blog-post_6.html
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デジタル分野の技術を軸とする文理融合の国際的な教育・研究機関であり、既存の大学や研究機関の枠を取り払い、最先端の人材が集いつつ、教員も研究者も学生も、産業界からの参加者も一体となって、具体的なサービスや商品の実装からビジネスや産業の創成までを手がけていく環境を造ります。
1 技術主導の教育と研究と実装。
2 デジタルに特化した教育・研究。
3 重点領域の実装。
4 文理融合。
5 バーチャル☓リアル。
6 リアルプロジェクト主体。
7 世界最高級の教育レベル。
8 学生はハイレベル研究員。
9 多様性。
10 国家戦略特区の活用。
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これにどこまで近づけたでしょう。
その6年を振り返りつつ、これからの6年を展望します。
2024年春、iUは初の卒業生を出します。
いわゆる「完成年度」を迎えます。
でも全く未完成。まだまだ作っている最中です。
何を作っているのか。
「情報」(ICT)と「経営」(ビジネス)で「イノベーション」を起こすプロ(専門職)を生む大学。
「ソーシャル、クリエイティブ、フロンティア」の3領域開拓をミッションとする。
「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する」を理念とする。
「全員起業」。「目標就職率ゼロ」。
いや、たいてい失敗する。失敗から学ぶ、「失敗大学」。
産学連携プロジェクト1st。連携企業1000社のコミュニティ。
客員教授1000人、学生より教授のほうが多い大学。
研究プラットフォームとして、おもしろい未来をみんなでつくるラボ「B Lab」を開設。
産学連携の研究プロジェクトが走り始めた。
情報発信基盤として、映像スタジオ「すみだMedia Lab」を開設。
BSよしもとが入居し、大学にテレビ局ができた。
教育、研究、メディアの3本柱を整える。
ここまでは、できました。iU1.0です。
できなかったこともあります。1.0の積み残し。
教育と研究、2点です。短期課題です。
教育は「多様性」。社会人や留学生などの確保が目標に達していません。
半分以上の学生が高校新卒以外でよい。
研究は「産学連携」。まだ本格化していません。
半分以上の収入が学費以外でよい。
課題をこなし、早くiU2.0に向かおう。
でも、1.0の間にガラリと風景が変わってしまいました。
予期せぬ環境変化が2点ありました。
DXとAIです。
コロナで日本はデジタル敗戦を認識し、DXの針が10年ほど前倒しになりました。
DX推進はiUの使命なので、よいことなのですが、世間が気づいたため、他の大学も一気にデジタルに力を入れ、がぜん大学間競争が激しくなりました。
そしてAIの爆発です。
もはや従来の教師はAIが担えます。
デジタルとの掛け合わせで、従来型の教育は不要になります。
10年後に世界の大学の半分が淘汰されるという説がありますが、もっと早いかも。
特に少子化が進む日本はヤバい。
それでもこれから必要となる大学でなければ。
iU自身が「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造」せねば、淘汰されます。
iU2.0は、DXとAIの時代に、世界で唯一の価値あるリアル+バーチャルの場を作ることです。
iU1.0で整えた、情報と経営でイノベーションを起こす教育と研究の基盤を維持しつつ、世界にない場を作り上げることが2.0の目標。
その目標年が2030年になります。
まず教育。
起業数/学生=起業率で世界一を目指します。失敗率も世界一。
学力ではなくコンピテンシーを重視します。コンピテンシートップ校。
年齢も国籍も、イケイケも陰キャも、多様なひとたちによる集まりで。
全授業AI利用はじめ、ロボット、メタバース、web3など技術は最速でまるごと実装。
参加型コミュニティにします。
クライアントたる学生が教育を設計する。「学生運動」部を作って大学当局とドンパチやる。
サークルや課外活動に単位を与えるなど、意義あることに打ち込めば卒業できるようにする。
例えばeスポーツコースは、eスポーツを学び、活動し、関連企業にインターンに行き、eスポーツで起業すれば卒業。
日本は飛び級が難しいけど、教授にはなれる。(iUには小学生の客員教授がいる!)
人生100年時代は、シニアが学び続ける時代。
日本はポップでおいしくて安全だから、世界からうんと来る。
みんな来て。
同時に、より高度な教育として、大学連携による国際的な博士号授与機構を作ります。
ただその前にiUとしては自ら大学院を作らず、海外の大学院をいくつも誘致し、大学院デパートを作る。いま米英仏の大学院と協議しています。
世界でもユニークなコミュニティを目指します。
そして研究。
iU2.0は研究を肉付けして太い柱にすることを主眼とします。
ソーシャル、クリエイティブ、フロンティアの3領域で、プロジェクトのデパートを作る。
プロジェクト専門の教授を多数アサインして、産学連携のフォーメーションを強化する。
2030年には、100本のプロジェクトが走り、その顔ぶれで世界に知られる存在になることが目標です。
いまiU/B Labでは、テクノロジーで身体を拡張する「超人スポーツ」、AIを用いた理研との共同研究「超校歌」などが走っています。
eスポーツ、web3、ニューロダイバーシティなどのプロジェクトも芽吹いています。
メディア、オタク、アート、地方創生などの領域にも力を入れます。
フード、ファッション、ヘルスなどにもウィングを広げたい。
一つのベンチマークは、MITメディアラボです。大学院+研究所だが、何より産学連携のプロジェクト群が世界に知られるゆえんです。
iUも産学連携プロジェクトでの教育+研究場となる。
だがアプローチは真逆。メディアラボのようなハイエンドでクローズドの機関ではなく、ユルくてオープンなコミュニティになりたい。
「おもしろい未来をみんなでつくるラボ」B Labのスピリッツを大切に育てます。
みんなが参加してつくるおもしろい場。
通常、大学が目指す「かしこい」「やくだつ」よりも、「おもしろい」を旨とします。
世界一おもしろい大学に、iUはなる。