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Channel: Ichiya Nakamura / 中村伊知哉
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教育情報化、2014年6月の風景(下)

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■教育情報化、2014年6月の風景(下)

 さて、地方や現場や民間の機運を受け、政府も動いています。

・「文科省「ICTを活用した教育の推進に資する実証事業」実証校募集」
 文科省、がんばってます。
 http://bit.ly/1hIhhE6

・「文科省、教育のIT化に向けた環境整備4か年計画を公表」
 4年間総額で6,712億円。実は予算はつけられているんですよ。
 自治体が使うかどうかなんです。
 この地方交付金を自治体が他用せず、きちんと使うかどうかがポイントです。
 http://bit.ly/1qxrtcf

・「文科省ICT活用実証研究、教員の9割以上「子どもの意識や理解が向上」」
 そう、成果はもう十分なのです。
 繰り返します。実証から実行に移りましょう。
 http://bit.ly/1gyTucN

・文科省「学びのイノベーション事業」報告。
 さて、そこで、小中学校など20校の児童・生徒約5700人に一人一台のデジタル教科書やタブレットを導入して3年間実証研究した結果が公表されました。関心あるかたは概要版で結構ですので、ぜひご覧いただきたい。
 http://bit.ly/1jzr5ne

 ICTによる一斉学習、個別学習、協働学習の実践。各教科ごとに指導方法とデジタル教材を開発したものです。
 8割の生徒が授業を楽しい・わかりやすいと肯定的に評価。8割以上の教員も効果的と評価したとのこと。意欲向上・学力向上にプラスと考えられます。
 教員がICTを授業で活用する能力は、開始当初51%が開始1年で77%に、という報告もあります。教員の活用力は、使わせればつくんですよね。
 学力検査では、低い評定が減少し、中学校では高評定グループがさらに高くなる傾向を見せました。
 これらを踏まえ、「学習意欲が向上し、知識・理解が定着し、思考力や表現力が向上した」という総括です。あたりまえ体操 踊れます。もう実証から実行の段階です。
 
 ところがです。
 さきごろ開かれた文科省の委員会で、学校情報化 一人一台政策の見直し論が出たといいます。おふざけかな、と思います。さもなければ閣議決定をひっくり返すというとてもパンクな所業だと思うのです。
 昨年の「世界最先端 IT 国家創造宣言」(閣議決定)「1人1台の情報端末配備・・デジタル教科書・教材の活用等、初等教育段階から教育環境自体の IT化を進める/2010 年代中には、全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で教育環境の IT 化を実現する」
 昨年の「政府知財ビジョン」(閣議決定)「すべての小・中学校において児童生徒1人1台の情報端末によるデジタル教科書・教材の活用を始めとする教育の情報化の本格展開が急務/課題を検討し、必要な措置を講じる。」
 これら内閣官房が発したIT系・知財系の両閣議決定は、担当省庁への指示であり、ひっくり返すなら内閣官房の議論からやり直さないといけません。ぼくは知財本部で受けて立ちますけれど。にしても、そんな議論ばかりしていてどうするの?って思うんです。
 この調子だと、10年たっても同じような議論をしていそうなかんじ。
 教育情報化は議論や検証の段階は過ぎました。実行、実行。そう思いません?

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